NYダウは115ドル高と連日の3ケタ高。為替はドル円は84円台で変わらないがユーロ円が111円台に乗せ、大証夜間取引やシカゴの日経平均先物から一足早く1万円の声が聞こえて、「その時」の舞台は整った。19日の日経平均始値は102.39円高で10025.40円をつけ、いきなり市場関係者待望の1万円に乗せて取引が始まった。その後、一度も1万円を割り込まずに値を切り上げ、終値は239.39円高の10160.40円で「高値引け」。終値で1万円以上は4月3日以来になる。
主力大型株を中心に買われて上げ幅は今年最大を記録し、値下がり銘柄211に対し値上がり銘柄は1419もあり、そのうち年初来高値更新銘柄は167と1割以上を占めた。25日騰落レシオは164.52%で「過熱してレッドゾーン振り切れ」状態。売買高は40億株、売買代金は2兆円の大台に乗せた。相場のあまりの強さに午後3時の大引けの瞬間、東証アローズは拍手喝采に包まれ、まるでお正月が2週間早く来たかのようだった。
値上がり幅が大きい業種は上から保険、鉄鋼、パルプ・紙、非鉄金属、証券、銀行などで、値下がり業種はJALが55円下げた空運のみ。鉄鋼は新日鉄住金の13円高が貢献した。「2%の物価上昇」目標の導入が有力で追加金融緩和の憶測が乱れ飛ぶ日銀の金融政策決定会合は明日までだが、結果を先取りしたようにメガバンクが買われ、三菱UFJは25円高で売買代金1位。みずほは6円高で年初来高値を更新し売買高1位、三井住友FGも122円高で年初来高値を更新し売買代金5位に入った。メガバンクに負けず劣らず目立ったのがノンバンクのオリコで、28円高で値上がり率6位。証券株も野村HDが年初来高値を更新している。東証REIT指数が連日年初来高値を更新する不動産も軒並み好調。自動車株はトヨタが130円高で年初来高値を更新し、ホンダも178円の大幅高だった。
1万円乗せのお祭りムードの中で下落が目立ったのがシャープで、終値は20円安の307円で値下がり率2位。さすがに息切れか。それでも2億2152万株が取引され売買高と売買代金はランキング2位で、上がっても下がっても現在一番の注目銘柄に変わりない。東京電力は7円安と下落した。日経平均寄与度の大きいソフトバンク、京セラが下げていなければ、お祭り気分はもっと盛り上がっただろう。
今日の主役は年初来高値更新が続出した建設株。自民党の高村副総裁が午前、「補正予算は10兆円程度必要。公共事業を前倒しで思い切ってやる」と明言して火に油を注いだ。値上がり率ランキングには、1位に「渋谷最強ゼネコン」と呼ばれ再開発期待大の東急建設、3位に売買高でも3位だった三井住友建設、4位に世紀東急建設、5位に大林道路が入った。大林組、大成建設、清水建設など大手ゼネコンも前日に引き続き好調だった。(編集担当:寺尾淳)