外務省は佐々江賢一郎外務事務次官が16日、香港活動家等による尖閣諸島沖領海への侵入、魚釣島に対する不法上陸に伴い中国の張志軍(ちょう・しぐん)外交部常務副部長の求めに応じた電話会談の概要を同日公表した。
それによると張副部長から尖閣諸島について中国政府としての立場が語られた後「本件について中国側の現時点での立場について申し入れ」があり「外交当局間で緊密に連絡していきたい旨が述べられた」という。
これに対し、佐々江次官は尖閣諸島について日本の基本的立場を述べた上で「本件については国内法に基づき引き続き厳正に対応していく」と答えた。
外務省は尖閣諸島の領有権が日本にある根拠について「尖閣諸島は1885年以降、政府が沖縄県当局を通ずる等の方法により再三にわたり現地調査を行い、無人島であるのみならず、清国の支配の及んでいる痕跡がないことを慎重確認の上、1895年1月14日に現地に標杭を建設する旨の閣議決定を行って正式にわが国の領土に編入することとした」。
また「同諸島は歴史的に一貫してわが国の領土たる南西諸島の一部を構成し、1895年5月発効の下関条約第2条に基づき、わが国が清国より割譲を受けた台湾及び澎湖諸島には含まれていない。従って、サン・フランシスコ平和条約においても尖閣諸島は同条約第2条に基づき、わが国が放棄した領土のうちに含まれず、第3条に基づき南西諸島の一部としてアメリカ合衆国の施政下に置かれ、1971年6月17日署名の琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定(沖縄返還協定)により、わが国に施政権が返還された地域の中に含まれている。以上の事実は、わが国の領土としての尖閣諸島の地位を何よりも明瞭に示すもの」と根拠を示した。
また「中国が尖閣諸島を台湾の一部と考えていなかったことはサン・フランシスコ平和条約第3条に基づき、米国の施政下に置かれた地域に同諸島が含まれている事実に対し、従来何ら異議を唱えなかったことからも明らかであり、中華人民共和国政府の場合も台湾当局の場合も1970年後半に東シナ海大陸棚の石油開発の動きが表面化するに及び、はじめて尖閣諸島の領有権を問題とするに至った」と領有権主張の不当性をアピール。
「従来、中華人民共和国政府及び台湾当局がいわゆる歴史的、地理的ないし地質的根拠等として挙げている諸点はいずれも尖閣諸島に対する中国の領有権の主張を裏付けるに足る国際法上有効な論拠とはいえない」としている。
(編集担当:森高龍二)