東芝<6502>が2014年3月期(2013年4月1日~14年3月31日)の業績を発表した。全社売上高は前年比13.5%増の6兆5025億4300万円、営業利益は同47%増の2907億6400万円、当期純利益は同34.3%減の508億2600万円となった。
今回は光学ドライブ事業の非継続化や復興法人税の廃止などの影響があり、純利益はマイナスとなったものの、主要5セグメントすべて増収となり、特に半導体事業を含む電子デバイス部門は大幅な増収となった。
まずそれぞれのセグメントの状況をみてみよう。電力・社会インフラ部門は、電力流通システム、太陽光発電システム、鉄道向けシステム、自動車向け事業などの増収により社会インフラシステム事業全体が伸長した。部門全体の売上高は前期比1799億円増加し、1兆8122億円となった。しかし、損益面では火力・主力発電システムが減益となり、部門全体の営業利益は前期比528億円減少の323億円となった。
コミュニティ・ソリューション部門は、流通・事務用機器事業が事業買収効果などにより大幅な増収となった。また、防災システム、昇降機事業、照明事業、業務用空調事業なども増収となった。これらの結果、部門全体の売上高は前期比1783億円増加し、1兆3574億円となった。損益面では営業利益は前期比92億円増加し、519億円となった。
ヘルスケア部門は新興経済地域で、主力のCTを中心として販売数量が増加したことにより増収となり、海外サービス部門も増収となった。これらの結果、部門全体では前期比312億円増加し、4018億円となった。損益面では、部門全体の営業利益は前期比48億円増加し286億円となった。
電子デバイス部門は、半導体はメモリが販売数量の増加などにより大幅な増収となり、ディスクリートも増収となった。また、ストレージも3.5インチハードディスクを中心に増収となった。これらの結果、部門全体の売上高は前期に4068億円増加の1兆6934億円となった。損益面ではメモリが高利益水準を確保し大幅な増益となった。部門全体の営業利益は前期比1430億円増加の過去最高益の2385億円となった。
ライフスタイル部門は、テレビなどの映像事業が販売地域の絞り込みなどにより減収となった。しかし、パソコン事業や白物家電事業が増収となり、部門全体の売上高は前期比440億円増加の1兆3138億円となった。損益面ではテレビなどの映像事業が構造改革の効果や売価の上昇、販売地域の絞り込みなどにより大幅に改善した。また、白物家電事業は増益、パソコン事業は減益となり、部門全体の営業損失は前期比87億円悪化し、510億円の損失となった。
その他部門は、ITソリューション事業が増収、減益となった。この結果、部門全体での売上高は5040億円、営業損失は87億円となった。
このように、東芝は半導体が過去最高益となるなど絶好調だ。14日には同社のNAND型フラッシュメモリの製造拠点である四日市工場にサンディスクと共同で設備投資し、第2棟を建て替える計画を発表した。14年9月に起工し、15年夏に竣工する予定だ。ここでは、2Dメモリから3Dメモリに切り替えて生産する。
一部マスコミでは、半導体の「勝ち組」と呼ばれる東芝。確かに戦略も積極的だ。同社の広報部によると、今回の建て替えには約400億円投資する。15年の竣工後は最新の半導体製造装置を導入していく(今回の総投資額について5000億円や7000億円といった報道があるが広報は否定)。日本の半導体産業を盛り上げる呼び水となることを期待したい。(編集担当:慶尾六郎)