週明け19日のNYダウは20ドル高と続伸。NASDAQは35ポイント高だった。医薬品大手のファイザーによる英国アストラゼネカへの買収提案は、買収価格を再度引き上げてもアストラゼネカは「正当に評価されていない」と拒否し破談。自分を安売りしないアストラゼネカの株価はロンドン市場で大幅安。ファイザーは財務負担が減ると好感されNY市場で0.6%高。AT&TのディレクTV買収が発表されたが両銘柄とも値を下げた。モメンタム銘柄はおおむね上昇し、スマホの特許訴訟で和解したアップルは1.18%高、グーグルは1.58%高。20日朝方の為替レートはドル円が101円台半ば、ユーロ円が139円台前半で前日夕方とほぼ同じ水準だった。
シカゴCME先物清算値は14125円。ロシア軍にウクライナ国境付近からの撤収命令が出たがタイ全土に戒厳令が発令され、「チャイナプラスワン」の本命ベトナムに反中国の不穏な空気が漂う中、日経平均は82.01円高の14088.45円と反発で始まる。序盤約15分は上下14円幅しか値が動かなかったが、午前9時37分に14041円、9時55分に14039円まで下げる。それでもプラス圏は維持。変化が現れたのは10時45分頃からで、上海市場も香港市場もプラスで始まり、為替が徐々にユーロ高に向かうと日経平均も14100円にタッチ。前引は14126円まで上がった。
後場は再開直後に高値を更新しながら上昇し、午後0時50分に14144円をつける。昼休みに自民党の日本経済再生本部の第2次提言に関するロイター電が入り、その中でGPIFのガバナンス体制を強化するために運用とガバナンスをパッケージで見直し、運用方針を決める常勤者を新たに置くなど法改正の必要性を含めて検討するとあり、材料視された。地域活性化のために地銀を再編し広域金融機関を設けるとか、プロ野球球団を16に増やす話も含め、成長戦略に反映させるという。
しかし上値はそこまで。日経平均は1時15分頃までは14120~14150円、その後はおおむね14100~14120円の狭いレンジで動く。21日の日銀会合の結果待ち、22日の中国のPMI発表待ちの薄商いで上値を追うエネルギーに乏しく、日銀会合の結果発表前日でもイベントドリブンを仕掛ける勢力の影は薄かった。終盤に下落して14100円を割り込み、終値は始値を下回り68.81円高の14075.25円で5日ぶりに反発した。2週連続で月曜日のアメリカ株が高くて火曜日の東京市場も上昇するパターンで、「アベノミクス相場で日経平均の5日続落はまだない」というアノマリーも健在だった。日中値幅は106円。TOPIXは+3.31の1153.38で4日ぶりに反発。売買高は17億株、売買代金は1兆5610億円で、商いは依然として盛り上がらなかった。
値上がり銘柄は869、値下がり銘柄は782だったが、値動きなしが160と8%もあったのがこの日の相場を象徴する。値上がりは25業種、値下がりは8業種。プラスセクター上位は電気・ガス、空運、サービス、水産・農林、その他製品、証券など。マイナスセクター下位は石油・石炭、その他金融、銀行、機械、ゴム製品、卸売などだった。
日経平均225種の値上がりは140銘柄、値下がりは76銘柄。プラス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で+15円、2位はKDDI<9433>で+7円。マイナス寄与度1位はファナック<6954>で-2円、2位はNTTデータ<9613>で-1円だった。
メガバンク3行は全てマイナスで41円安の三井住友FG<8316>は年初来安値更新。野村HD<8604>は10円高。トヨタ<7203>は9円高、日産<7201>は11円高、ホンダ<7267>は24円高、マツダ<7261>は6円高と自動車大手は小幅高が多いが、自動車部品のデンソー<6902>は23円安で2日連続年初来安値を更新。パナソニック<6752>は今期末に6年ぶりに実質無借金になると報じられたが4円安で年初来安値更新。2年前の秋に「巨額最終赤字三兄弟」と呼ばれた2円安のソニー<6758>とは道が大きく違ってしまった。もう一人の兄弟シャープ<6753>は2円安。富士通<6702>は19円高。東芝<6502>は来年発売のグーグルの新型スマホに半導体を供給すると報じられ5円高。国際会計基準(IFRS)に移行検討と報じられた日立<6501>は3円高。電機大手は米国会計基準とIFRSが混在している。