【日経平均】外部環境が一転悪化しても107円安どまり

2014年05月15日 20:29

 14日のNYダウは101ドル安で6営業日ぶりに反落し未知の〃宇宙空間〃から帰還。NASDAQも29ポイント安だった。4月の卸売物価指数(PPI)は0.6%上昇し市場予測を上回る。百貨店メーシーズの2~4月期決算は大寒波で減収でも純利益は増加。通期の利益見通しを据え置いて増配と自社株買い枠の10億ドル拡大も発表したが0.01%安で終えた。15日朝方の為替レートは、アメリカの長期金利が2.55%近辺まで下落したためにドル円は102円を割り込んで101円台後半、ECBの利下げ観測でヨーロッパは債券高になりユーロ円は140円を割り込んで139円台後半と、円高が大きく進行していた。

 シカゴCME先物清算値は14250円。取引時間前に内閣府から1~3月の国内総生産(GDP)速報値が発表され、+5.9%で市場予測の+4.3%を大きく上回って6四半期連続のプラス。第三次産業活動指数も+2.4%で市場予測より上だったが、3月の駆け込み需要はもう過去の話。外資系証券の売買注文動向は売り越しだった。日経平均は125.25円安の14280.51円で始まる。午前9時6分に14222円まで下げ、12日高値と13日安値の間に空けたマド埋めを完了する。9時21分に14190円まで下げるが、10時台になると14300円前後まで値を戻し、その後の前場の間はずっと落ち着いた小動きに終始して、前引は14279円だった。

 後場も前引と同水準で始まり、14300円につかず離れずの水平飛行が続いたが、プラスに浮上するような気配はない。午後1時40分頃から一段安になり14250円付近に下がってもみあい。2時に発表された4月の消費動向調査の消費者態度指数は3月調査から0.5ポイント低下し37.0で5ヵ月連続で悪化したが市場予測の36.7ほどには下がらなかった。これは過去ではなく現在に続く話。これまでの経済指標や売上速報、新聞報道を見ると現状の個人消費は「全球凍結期」までひどくはなく「中ぐらいの氷河期」という感触か。午後に黒田日銀総裁が東京のコロンビア大学ビジネススクール日本経済経営研究所で講演し、「夏場以降は潜在成長力を上回る成長」などと景気の「雪解け」の時期に言及して楽観的な見通しを語っていたが、これは追加金融緩和期待には水を差したことになる。

 2時30分を過ぎると日経平均は値を切り上げ、大引け直前に14300円にタッチしたものの終値は107.55円安の14298.21円で続落。外部環境が悪化しても以前のようなボロボロにならず、この程度の下落ですんだ。日中値幅は116円。TOPIXは-4.86の1178.29で3日ぶりに反落したが日経平均よりも下落幅は小さい。売買高は20億株で6営業日ぶりの大台乗せ。売買代金は1兆8169億円だった。

 値上がり銘柄は585、値下がり銘柄は1102で全体の60%を占めた。プラスのセクターは11、マイナスのセクターは22。値上がり業種上位は石油・石炭、不動産、パルプ・紙、海運、鉄鋼、電気・ガスなど。値下がり業種下位はその他金融、証券、精密機器、保険、小売、倉庫などだった。

 日経平均採用225種は値上がり84銘柄、値下がり131銘柄。プラス寄与度1位は三井不動産<8801>で+2円、2位はアマダ<6113>で+2円。マイナス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で-23円、2位はクレディセゾン<8253>で-11円だった。

 メガバンク3行が前日大引け後、3月期決算を発表した。みずほ<8411>の当期純利益は、3月期は23%増の6884億円で8期ぶりの過去最高で、今期見通しは20%減の5500億円。市場予測を3月期は上回り、今期見通しは下回る。今期年間配当は2期連続の50銭の増配予想。株価は値動きなしだった。三菱UFJ<8306>の当期純利益は、3月期は15%増の9848億円で2期ぶりに過去最高で、今期見通しは4%減の9500億円。市場予測を3月期も今期見通しも上回る。3月期は増配したが今期年間配当は16円で据え置き予想。株価は6円高だった。三井住友FG<8316>の当期純利益は、3月期は5%増の8353億円で2期連続過去最高で、今期見通しは19%減の6800億円。市場予測を3月期も今期見通しも上回る。今期年間配当は120円で据え置き予想。株価は126円安だった。3行とも今期は最終減益の見通し。

 証券セクターは不振で、野村HD<8604>は6円安、大和証券G<8601>は16円安。為替が円高に振れたので自動車大手、電機大手には期待ができず、トヨタ<7203>は45円安、ホンダ<7267>56円安。日立<6501>は6円安で年初来安値を更新した。その中でシャープ<6753>は5円高と健闘。パナソニック<6752>は海外子会社の取引にからんで100億円の申告漏れ、3000万円の悪質な所得隠しを大阪国税局から指摘され、約2億円の追徴課税と報じられて8円安。創業者の松下幸之助氏は「無税国家論」の理想を唱えたが、企業が納税額をごまかしてもいいとは言っていない。

 パイオニア<6773>は日経新聞朝刊1面で、創業以来のAV事業の売却を船井電機<6839>などと交渉中と報じられた。ネット配信におされて低迷するAVに見切りをつけてカーナビなど車載機器に専念するといい、元オーディオマニアにはソニー<6758>の巨額最終赤字とともに寂しいニュースか。パイオニアは9円高、船井電機は3円安だった。