15日のNYダウは167ドル安の大幅続落。NASDAQも31ポイント下落した。一時は下落幅が200ドルを超えた最大の要因はウォルマートの2~4月期決算の悪さで、大雪で店まで車で行けない大寒波の影響で減益幅が市場予測を超えて拡大し、株価は2.4%下落。ユーロ圏の域内GDPは+0.2%どまり。4月の鉱工業生産指数が3ヵ月ぶりに前月比0.6%低下し、住宅関連指標も軒並み市場予測を下回って景気の先行きに不安がひろがった。
とはいえ、NY連銀製造業景気指数は市場予測の6.0とはケタ違いの19.0で前月の1.3から劇的に上昇し、新規失業保険申請件数も改善。景気の現状は非常に良好だが、謎のリスクオフでアメリカの長期金利は2.5%を割り込み昨年7月以来の水準に低下した。こうも不思議なことばかり起きると、ウクライナやベトナムの騒動の影響だけでなく、確証はないがHFT(超高速取引)や裁定取引や課税などをめぐる金融大手の「アングロサクソン勢VS.大陸ヨーロッパ勢の暗闘」という話も頭をかすめる。16日朝方の為替レートはドル円が101円台半ば、ユーロ円が139円台前半で、前日比でさらに円高方向に振れた。
シカゴCME先物清算値は14110円。取引時間前の外資系証券の売買注文動向は売り越し。前日はけっこう底堅かったが、外部環境がさらに悪化し、しかも利益確定売りの金曜日。日経平均は210.45円安の14087.76円と9日のSQ値を下回る大幅安で始まった。ところがまた不思議な現象が起きる。このところ、始値で値が飛んでもザラ場はそれほど値が動かないというパターンが多かったが、この日はそれが極まって上下幅35円しかない極小の値動きが午前9時台も、上海や香港をはじめアジア株が軒並み安で始まった10時台も延々と続いた。11時を回るとやや下がって11時8分に14040円をつけるが、前場は58円値幅のままで終わり、前引は14055円だった。
後場は14027円まで下げて再開するが、再び水準を下げての小幅もみあい。午後1時をすぎると1時8分に14016円まで下落するが、14000円台は死守。インドで総選挙の開票が始まり、最大野党のインド人民党(BJP)が得票率でリードし10年ぶりの政権交代の期待が高まり、通貨のルピーは高くなりムンバイSENSEX指数は上昇で始まるが、東京株式市場は全く反応せず。しかし債券市場では国債が買われ長期金利がさらに低下した。日経平均は1時台後半からは14050円近辺で安定し「べたなぎ」状態が続いたが、前々日、前日と同じように大引け前ににわかに上昇して、2時52分に14100円を突破して14108円まで上がる。終値は201.62円安の14096.59円で3日続落し、1勝4敗、前週末9日の終値からマイナス103.00円で今週の取引を終えた。日中値幅は92円。TOPIXは-19.22の1159.07で大幅続落。売買高は20億株、売買代金は1兆8903億円だった。
東証1部の値上がり銘柄は159。値下がり銘柄は1602で88%を占めた。33業種別騰落率は全業種マイナスで、下落率が小さかったのはガラス・土石、サービス、水産・農林、化学工業、卸売、金属製品など。大きかったのは情報・通信、石油・石炭、電気・ガス、その他金融、銀行、パルプ・紙などだった。
日経平均採用225種は値上がり15銘柄、値下がり207銘柄。プラス寄与度1位はアマダ<6113>で+5円、2位は日本ガイシ<5333>で+3円。マイナス寄与度1位はソフトバンク<9984>で-30円、2位はKDDI<9433>で-15円だった。
主力株全面安で、三井住友FG<8316>115円安、トヨタ<7203>113円安、ソニー<6758>49円安、三井不動産<8801>72円安とメガバンクも証券も自動車も電機も不動産もマイナス銘柄ばかり。その中で自動車でスズキ<7269>が21円高、不動産で東急不動産HD<3289>が5円高と健闘していた。コマツ<6301>はシティGがレーティングを引き上げて6円高だった。
日本ガイシは95円高で値上がり率14位。前日発表した決算は、3月期の営業利益は2.1倍の442億円で従来予想の420億円を上回り、今期営業利益見通しは8.5%増の480億円。市場予測の523億円に届かないが年間配当を2円増配して24円としたのが評価された。一方、新規上場後に通期業績見通しを下方修正する〃背信行為〃でマーケットをあきれさせたジャパンディスプレイ<6740>は前日、今期の営業利益が45%増の400億円になる見通しを出したが市場予測に遠く及ばず、カラ売り規制発動の71円の大幅安で年初来安値を更新し値下がり率3位。対照的に同じ直近東証1部直接上場銘柄のジョイフル本田<3191>が330円高で年初来高値を更新し値上がり率6位に入っていた。