海外生産の進む二輪市場は商品企画・開発も現地化

2012年08月03日 11:00

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ヤマハ発動機がスポーティかつ個性的なスタイリングを持ったオートマチック(AT)のコミューターとしてこの春タイ市場で発売した新製品「TTX」。タイのヤマハ現地法人YMACを中心に現地で企画から開発、製造までを完結している。

 二輪メーカー各社の主要な市場となっているASEAN各国。そのひとつ、総需要が年間で約200万台と日本市場の約5倍もの規模となっているタイの二輪車市場は、一種独特の市場となっている。

 タイでは1980年代後半から1990年代半ばにかけて、「ファミリースポーツ」という他国にはみられないタイプの二輪車が主流となり、一時期はタイで販売される二輪車の大半を占めた。そして現在では、市場を支える20代の男性にとって二輪車は、単なる移動手段ではなく、自己表現ツールの一つとして捉えられているという。

 その中で特に若い世代から支持を受けているのがヤマハ発動機である。このヤマハ発動機が、スポーティかつ個性的なスタイリングを持ったオートマチック(AT)のコミューターとしてこの春タイ市場で発売した新製品「TTX」は、R&D機能を持つタイのヤマハ現地法人YMACを中心に現地で企画から開発、製造までを完結した製品。斬新なオフロードテイストの車体に、燃費向上に貢献する同社独自のシステム「YMJET-FI」を搭載しており、カラーリング&グラフィックなどの企画・検討から決定に至るプロセスは現地スタッフとともに実施。結果、お披露目の場となった第33回バンコクモーターショーにおいて、その個性的なスタイリングが大きな話題を集めた。

 「タイの人々からは、新しいモノやコトをこだわりなく受け入れる大らかさを感じます。その一方で、一つのトレンドの寿命が短いというか、速いテンポで変わってしまう傾向が見られます。そういう点では、日本とはちょっと違う難しさがあるかもしれません」と話すのはYMACにてアセアン地域向け二輪車の商品企画を担当し、「TTX」のカラーリング&グラフィックの企画・検討にも関わった比嘉ちとせ氏。近時、東南アジアに生産拠点を設けるメーカーは多いが、こうした現地ならではのニーズや傾向を的確に製品に反映するには、単なる生産だけでなく、企画・開発の段階から現地で実施することが不可欠であろう。