電子出版市場が1000億円突破、5年後には3倍に成長との見方も 

2014年07月01日 07:53

 電子書籍の市場規模が拡大している。インプレス総合研究所によると、2013年度の電子書籍市場は936億円となり、前年度から28.3%増加した。同じく電子雑誌市場は77億円。両者を合わせた市場規模は1013億円となり、初めて1000億の大台を突破した。電子出版は本格的な拡大期に入ったとみられる。

 13年度は、以前にも増してスマートフォンやタブレットの普及率が上昇。母数の拡大に合わせて、電子書籍ストアはテレビCMも含め、積極的な宣伝活動を展開した。電子書籍ストアや出版社によるキャンペーンも増え、タイトルも拡充してきている。ユーザーの平均購入量は増加傾向で、最近では従来型の「ケータイ向け電子コミック」と同様、1ページずつではなく1コマずつコミックを見せるライトユーザー向けの電子書籍も好調だ。インプレス総合研究所では、2018年度の電子書籍市場は現在の2.9倍、2790億円程度になると予測する。

 これまで市場規模が小さかった「電子雑誌」も成長が続く。昨年5月には講談社とエキサイトが共同で、週刊漫画誌「モーニング」(定価330円)の電子版をスタート。アプリをダウンロードし月額500円の有料会員になれば、『社長 島耕作』『宇宙兄弟』などの作品が漫画週刊誌と同じ発売日に読める。集英社も昨年8月、『週刊少年ジャンプ』をスマホやタブレットで読めるアプリ「ジャンプLIVE」をスタート。こちらは不定期の配信だが、配信後は一定期間にわたりジャンプ作家の描き下ろし漫画などが読める(200円で全コンテンツが閲覧可能)。こうした新しい動きもあり、配信雑誌数や電子書籍ストアでの取り扱いは増加傾向。広告市場が形成されれば、電子雑誌の配信が本格化する可能性もある。市場規模は、2018年度には現在の77億円から550億円程度まで成長すると見込まれ、電子書籍と合わせた電子出版市場は5年後に現在の3倍、3340億円まで拡大すると予測されている。(編集担当:北条かや)