メダル期待の日本水泳、水面下で支える日本の技術

2012年07月30日 11:00

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開幕間近のロンドン五輪で、期待を集める水泳・競泳陣が合宿等で強化・調整を行う施設、東京・国立スポーツ科学センター(JISS)及び隣接するナショナルトレーニングセンター(NTC)の合計3基のプールはヤマハ発動機製のプールであるという。

 ついに開幕したロンドンオリンピック。日本代表には一つでも多いメダルが期待されるが、中でも、毎回のようにメダルを獲得している水泳・競泳陣には今大会でも大きな期待が寄せられている。この水泳・競泳陣が合宿等で強化・調整を行う施設として、東京・国立スポーツ科学センター(JISS)及び隣接するナショナルトレーニングセンター(NTC)があるが、ここに設置されている合計3基のプールが二輪車やボートを製造するヤマハ発動機製のプールであることは、あまり知られてないのではないだろうか。

 ボートの艇体に使用されているFRPという軽量で丈夫な素材の技術から派生し、同社がプール事業を始めたのは1974年。日本で初めてFRPプールの製品化に成功して以来、国際大会で使用される最先端のプールから、学校プールやウォーキング用プールまでその用途は幅広く、2012年6月現在で累計約3万基の納入実績があるという。

 短期間で組み立て、一時的なイベントでも使用することが可能なFRPプールの技術が脚光を集めたのは2001年に福岡で開催された世界水泳の時。国際大会で使用されるプールはほとんど誤差が許されない上、50mプールはもともと高い技術力が必要となる。このプールを既存の施設屋内にわずか2週間で完成させたプロジェクトの成功により、ヤマハ製プールへの信頼性が一気に高まった。

 JISSの最初のプールが竣工したのも福岡世界水泳と同じ2001年。その後シンクロプールは2009年に深さの違っていた床を平面にし、プールサイドを30cm床上げする工事などを経て、トレーニングだけではなく、さまざまな研究データも蓄積できる日本で最先端のプールに。例えば、1984年のロサンゼルスオリンピックで正式種目となって以降、オリンピックでは欠かさずメダルを獲得しているシンクロナイズドスイミング用プールは深さ3m。さらに、プールサイドから階段を下りて地下に向かうとプールの壁面はガラス張りになっており、選手の一人ひとりの水中での動作をしっかりと確認することができる上、水中に設置されたカメラや、地下のガラス越しに撮影された映像はプールサイドのモニターに映し出され、すぐに指導に活かされているという。

 国立スポーツ科学センターが設立されて初めての2004年アテネオリンピックでは、水泳・競泳の獲得メダルが計8個とメダルラッシュ。ロンドンオリンピックでも、日本選手団の活躍を期待したい。