アプリ・サービスが充実する反面、進化鈍化のスマートフォン

2012年07月30日 11:00

 昨年来、急激に普及したスマートフォンやタブレットPCなどのモバイル端末。この普及に追随するように電子部品やアクセサリーなど周辺市場も大きく拡大してきた。しかし、近時はこの周辺市場にも少しこれまでとは異なる傾向が見られるようである。

 スマートフォンやタブレットPCに搭載される電子部品に関し、一時期は、小型化や低消費電力化などを実現した部品が各メーカから連日のように発表されていた。しかし近時は、旭化成エレクトロニクスが携帯機器向け3軸電子コンパスの新製品を発表した程度であり、他にめぼしい発表は見られない。

 一方でソニー損害保険が、安全運転診断、トラブル時のサポート、見積り・申込みのすべてをスマートフォンで実現するサービスを国内損保で初めて実施すると発表。フジテレビとグリーがソーシャルメディア事業で業務提携し、フジテレビが企画・制作している多彩なテレビ番組やコンテンツをモチーフとして、グリーが持つソーシャルゲーム開発・運営分野でのノウハウを活用し、スマートフォン向けの新規ソーシャルコンテンツを創出していくと発表するなど、サービス面での多角化が進んでいる。

 さらに、アプリケーションの開発も活発さを維持しており、ヤフー、大日本印刷、日本航空が共同で沖縄観光情報など掲載のスマホ用アプリ「JAL沖縄」の提供開始を発表したり、パナソニックが放送番組を見ながらコメントを閲覧できるDIGA向けアプリの提供開始を発表したりと、連日のように新アプリの発表がなされている。

 普及開始当時から課題の一つとなっていたバッテリーの長寿命化は劇的な進化をみせないまま、モバイルバッテリーなどアクセサリー機器に依存する形となるなど、スマートフォンのハードとしての進化が止まり、ソフト面での多様化へと主軸が移行してきた印象である。微細化や小型化、低消費電力化といった技術が壁にぶつかっているということであろう。しかし、アプリケーションやサービスが充実するにつれて端末利用時間は長くなる傾向にあるため、駆動時間の伸長は必須である。この先、かつて携帯電話が急激に小型化した時のような技術の進化は見られるのか。この壁を破ることが出来れば、低迷する日本の半導体市場が活力を取り戻る切っ掛けとなるのではないだろうか。