古河電工がスマートエネルギーシステム導入推進実証調査受注

2012年07月27日 11:00

 古河電工が、神奈川県環境農政局新エネルギー・温暖化対策部蓄電推進課より公告された「スマートエネルギーシステム導入推進実証調査業務委託」を受注したと発表。EV(電気自動車)及び定置型の蓄電池を用いて日中の電力ピークを抑える蓄電システムで、2012年8月1日から2013年3月末まで、神奈川県海老名市にある産業技術センターにて実証実験を行う。

 本システムは、PCS(パワー・コンディショニング・システム)、リチウム蓄電池(12.5kWh)、電気自動車への充放電を行うEV-PCS(10kW)、見える化システム及びEMS(エネルギー・マネジメント・システム)から構成されており、従来、電気自動車を蓄電池と見立てて放電する時は、系統(商用交流ライン)から切り離していたものを、今回は系統と接続した状態で放電し、かつ複数の蓄電池をコントロールしており、本業界初の実証実験となる。本システムは実験後も海老名産業技術センターに設置され、中小企業対象のデモシステムとして展示されるとのこと。古河電工によると、更に規模の大きなシステムも提案可能であり、本事業において2013年度に3億円の売り上げを見込んでいるという。

 東日本大震災以降、注目を浴びているピーク電力の抑制。ピーク電力を抑制する方法として、ピークカット(ピーク時の電力消費を抑えること)とピークシフト(蓄電池等を使用して夜間電力を蓄電し、ピーク時に放電する方法)があり、さらにピークカットの方法としては、デマンドコントロール(使用者側の消費電力を抑制する方法)と太陽光発電の様な発電機器を利用して見かけ上の消費電力を抑える方法とがある。この中で、電力の系統に影響を与えない点と消費者に不便な思いをさせない点から、ピークシフトが注目されている。今回の実証実験は複数の蓄電池を連動してコントロールし、ピークシフトを実現するもの。既に節電の夏は始まっており、こうした技術が本当に必要とされる時期に来ている。実証実験は来年3月末までとのことであるが、一日も早く実用化し、市場に投入されることを期待したい。