エアバス購入契約解除 挫折したスカイマークの夢

2014年08月02日 10:45

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当初の計画では今年10月にエアバスA380の1機目が引き渡され、スカイマークは同社初の国際線として成田―ニューヨーク線に就航させる計画だった。日本の航空会社ではスカイマークが初導入となり、注目を集めるはずだった。

 スカイマーク<9204>は2013年末にフランスのエアバス工場でA330とミニスカ制服を公開し、大きな話題となった。その時メディアが大きく取り上げたのはA330よりもミニスカだった。鮮やかな青一色でひざ上をカットする、華やかなデザインでまとめられた制服がクローズアップされ、物議をかもした。そして、今度はミニスカではなく、エアバスが物議をかもしている。

 スカイマークが国際線の参入に向け欧州エアバスから購入予定だった超大型旅客機「A380」について、解約交渉を始めたことが7月29日、明らかになった。同社の業績が悪化し、購入資金が確保できない恐れが出てきたためだ。同時にエアバスが違約金の支払いを求める損害賠償訴訟を検討していることもわかった。違約金は数百億円規模になるとの見方もある。

 スカイマークは1996年の設立で、規制緩和による新規参入航空会社の第1号。大手に比べ割安な運賃を武器に路線網を拡大し、現在は羽田―福岡線など約30路線を運航中。さらに、スカイマークはA380を使って国際線への参入を目指していた。当初の計画では今年10月に1機目が引き渡され、同社初の国際線として今年末にも成田―ニューヨーク線に就航させる計画だった。

 A380は総2階建て、座席数500席超の世界最大の旅客機で「空飛ぶホテル」の異名をとる。旅客機として世界最大かつ最も高額な同機のカタログ価格は1機当たり4億1400万ドル(約422億円)。スカイマークは6機分の投資予定額を1915億8500万円としていた。エアバスは07年にシンガポール航空に納入したのを皮切りに、ルフトハンザドイツ航空やエミレーツ航空など世界の航空大手に130機以上を引き渡している。日本の航空会社ではスカイマークが初めて導入する予定で注目を集めるはずだった。

 格安航空会社(LCC)の相次ぐ参入による競争激化や円安に伴う燃油費の上昇で、スカイマークは14年3月期の単独決算で5期ぶりの最終赤字に転落。A380の購入に向けた借り入れの見通しが立たなくなっていた。同社は今年6月に購入計画の見直しを表明。エアバスとの間で購入機数の削減や引き渡し時期の延期などの交渉を進めていた。

 13年3月、全日空<9202>がボーイング747を退役させたことで日本のエアラインから4発エンジンのジェット機が消えた。巨大なジェット機には人を惹きつける夢がある。スカイマークの夢は挫折したかに見えるが、今後同社がどのような手を打つか注目が集まっている。(編集担当:久保田雄城)