7月31日のNYダウは317ドル安で3日続落し約2ヵ月前の水準に逆戻り。NASDAQも93ポイントの大幅下落だった。アルゼンチン国債のデフォルト問題は東京では0.16%下落のさざ波だったが、フランクフルトやパリでは1%を超える大幅安の荒波と化し、NYも大波にのみ込まれ1.88%下落という形で株安が増幅しながら地球を一周した。これが世に言う「バタフライ効果」か? ユーロ圏CPI伸び率が+0.4%まで落ち込んでデフレ懸念が再燃し、お騒がせのポルトガルの銀行BESが1~6月期で巨額赤字を計上し、ロシア制裁の影響が大きいアディダスが15%を超える大幅安とヨーロッパに悪材料が多く、それに月末要因や雇用統計待ちが加わり最近にはなかった大幅安を演出した。8月1日朝方の為替レートはドル円102円台後半、ユーロ円137円台後半で少し円高でも、リスク回避の円買いとまでは言えなかった。
CME先物清算値は15490円。日経平均は109.23円安の15511.54円と3ケタ下落で始まる。午前9時15分に15501円で下げるがそこから折り返して10時台には15550円を突破する。先日の大手企業決算が下支えになった面があった他、先物は15500円で下げ止まり、為替は102円台後半の円安水準を保ち、「下げたらETF買いの『日銀砲』発射」という援護射撃期待もあった。上海、香港はマイナスで始まるが、中国物流購入連合会の製造業PMIが発表されて市場予測を0.3ポイント上回る51.7と順調。それを好感したのか10時44分に15602円と一時15600円台にタッチした。その後も15550円を上回る水準で推移して、前引けは15568円だった。
後場はほぼ前引け水準で再開し、午後0時台は上昇して15600円に接近するが、1時台は決算発表がどんどん出てくるのを尻目に15570円近辺の小動きに終始して昼下がりの「シエスタ」。アメリカの雇用統計は寝て待て、か? しかし2時、2.5%減で「軽」も13ヵ月ぶりに7.1%減った7月の新車販売台数速報が発表されると15520円近辺まで急落する。その後は15540円前後で動いたが大引け間際に下げ、終値は97.66円安の15523.11円と続落し3勝2敗、前週末7月25日の終値から65.24円上昇して今週の取引を終えた。日中値幅は101円。TOPIXも-8.12の1281.30と続落した。売買高は22億株、売買代金は2兆1711億円で、2日続けて2兆円を超えた。
東証1部の値上がり銘柄数は334、値下がり銘柄数は1409で全体の77%を占めた。33業種別騰落率は4業種が上昇、29業種が下落。プラスのセクターはガラス・土石、電気・ガス、水産・農林、空運。マイナスのセクターで下落率が小さいのは非鉄金属、建設など。大きいのは海運、金属製品、保険、その他製品、その他金融、卸売などだった。
日経平均採用225種は値上がり45銘柄、値下がり175銘柄。プラス寄与度1位は日本ガイシ<5333>で+10円、2位は日東電工<6988>で7円。マイナス寄与度1位は京セラ<6971>で-12円、2位はソフトバンク<9984>で-11円だった。
日経新聞に大手銀行5グループの4~6月期最終利益は前年同期比19.5%減という記事が出ていた。みずほ<8411>の4~6月期決算は、実質業務純益(2行)は13%減、純利益は株式売却益が減少して38%減。通期見通しは据え置き。株価は1.7円安だった。三井住友FG<8316>は18円安、三菱UFJ<8306>は2.7円高。野村HD<8604>は0.8円高。証券セクターは日経新聞に4~6月期決算の最終利益は20社中19社が減益と出ていた。薄商いが定着して株式の売買代金が半減し、投資信託設定額も3割減という。証券税制の税率が10%が20%に変わったダメージはかなり大きいようだ。
トヨタ<7203>は50円安、ホンダ<7267>は52円安、日産<7201>は5円安。マツダ<7261>の4~6月期決算は、売上高15%増、営業利益54%増、経常利益6.5倍、純利益9倍で、全て第1四半期の過去最高を更新して59円高。海外販売が好調で国内の消費増税後の反動減をカバーし、世界販売台数は6%増の31万9000台。ダイハツ工業<7262>の4~6月期決算は経常利益は39%減の294億円、純利益は41%減の138億円に落ち込み74円安だった。
電機大手は日立<6501>、パナソニック<6752>、ソニー<6758>の4~6月期決算の業績が出揃った。日立の4~6期決算は営業利益が44.5%の大幅増の801億円で4~9月中間期の営業利益見通しを100億円上方修正したが市場予測を下回り24円安。通期の営業利益見通しは据え置いている。パナソニックの4~6月期決算は、売上高は2%増、営業利益は28%増だが純利益は65%減で2円安。しかし「住宅と自動車」に絞り込む再建策は順調に進み、固定費コスト圧縮も寄与した。
東芝<6502>は4~6月期決算で税引き前利益が6.1%減で、4~9月中間期見通しに対する進捗率は28.8%にとどまった。さらなるリストラ策として世界に24法人あるテレビ販売拠点を半減させ。300人を削減し来期の固定費を100億円減らすと発表したが7円安だった。NEC<6701>が発表した4~6月期決算の売上高は6.5%減、営業損益は148億円改善しても71億円の赤字、純損益は114億円改善しても101億円の赤字で8円安。富士通<6702>の4~6月期決算は税引き前利益が黒字に転換して野村證券が目標株価を引き上げたが27.1円安だった。
セイコーエプソン<6724>は前日に4~9月中間期と通期の業績の上方修正を発表し、市場予測を上回ってストップ高の700円高。10年ぶりに上場来高値を更新し値上がり率2位、売買代金4位に入った。中間期は売上収益を230億円、営業利益を240億円、通期は売上収益を300億円、営業利益を160億円それぞれ引き上げている。アジアの新興国で、大容量インクタンクモデルのインクジェットプリンターがヒットしているという。京セラの4~6月期決算は不振。営業利益は26%減で市場予測を下回り、税引き前利益は11.9%減で通期計画に対する進捗率は19.4%どまりで158円安。新光電気工業<6967>は4~6月期決算が大幅減益で一時ストップ安の142円安になり4日続落して値下がり率1位だった。決算内容は売上高3.8%減、営業利益は99.2%減、純利益は91.9%減。パソコン販売の不振の影響をもろに受け、原材料高、新製品量産のための設備投資も負担だった。中間期業績見通しは据え置いて巻き返しを期す。
日本ガイシは通期の営業利益見通しを80億円上方修正し市場予測を上回って 円高で年初来高値を更新し値上がり率6位。自動車関連製品がヨーロッパのディーゼル車、アメリカのトラックを中心に好調という。東京特殊電線<5807>は通期の純利益見通しを上方修正し15円高で値上がり率12位だった。
KDDI<9433>は4~6月期決算を発表し、売上高は1.8%増、営業利益は9.0%増と増収増益で43円高。auユーザーのスマホ移行が進んで通信料収入が順調に拡大しているという。ソフトバンクは、スプリントによるTモバイルUSの買収にフランスの通信大手イリアド社というライバル出現。ドイツテレコムに150億ドルの買収提案を行ったと発表した。同じEU域内の隣国なので油断ならずソフトバンクは95円安だった。