シャープ、4年連続の赤字も液晶事業は黒字確保

2014年08月04日 07:57

 経営再建中のシャープ<6753>の道行きに、小さな光の灯が見え始めた。結果的には4年連続での赤字となった同社の4~6月期の連結決算ではあったが、しかしその赤字幅は前年同期よりも縮小し、また主力である液晶事業は黒字となった。

 1日、シャープは2014年4~6月期の連結決算を発表。それによれば、売上高は前年同期比1.9%アップの6197億円、営業利益は55.0%アップの46億円、経常損失は前年同期の127億円赤字に対して、54億円赤字に縮小、そして当期純損失は前年同期の179億円赤字に対して17億円の赤字に縮小した。ただし、こうして4~6月期が赤字となるのは、これで4年連続でのこととなる。

 4年連続の赤字となった背景には、ヨーロッパでの太陽電池事業の撤退に伴う143億円の特別損失の計上がある。しかしその一方で、中国などの海外でスマートフォン(多機能携帯電話)向けの液晶パネルの販売は好調に推移。その結果、売上高、営業利益ともに前年同期を上回った。そのほか、カラー複合機や空気清浄機の売り上げも海外で好調に数字を伸ばした。また国内では、洗濯機の販売が伸びた。

 4~6月期の液晶事業は前年同期の95億円赤字に対して、21億円の黒字。その利益のうち、中小型の液晶がほとんどを占めた。4~6月期の液晶事業の売上高2069億円のうち、中小型の液晶の比率は65%であった。

 こうした状況を受け、シャープは今後、主力の生産拠点である亀山第2工場における中小型の液晶の生産比率を高めるとの経営課題を掲げている。1~3月期には28%であった生産比率を、4~6月期には35%にまで高め、9月末までには50%にまで高めるとしている。
 
 そして14年度の通期の業績予想に関しては、期初の予想から変更は行わず、売上高は前年度比2.5%アップの3兆円、営業利益は前年度比7.9%ダウンの1000億円、経常利益は前年度比6.2%ダウンの500億円、当期純利益は前年度比159.5%アップの300億円としている。

 赤字幅の縮小、そして主力の液晶事業の黒字確保、これらが今後のシャープの再建への道行きを照らす光であることは間違いない。しかし太陽光パネルの国内販売は減少しており、まだまだ予断は許さぬ状況だ。こうした苦戦する事業において改善がみられぬ限り、まだまだシャープの未来は明るいとは言えない。(編集担当:滝川幸平)