レコードが低迷する音楽業界を救う? 若者にじわり人気

2014年08月16日 20:50

画像・レコードが低迷する音楽業界を救う? 若者にじわり人気

アメリカをはじめ、日本でもレコードの人気が再燃している。ローソンHMVエンタテイメントは渋谷区宇田川町に中古レコード・CD専門店をオープン。若者に人気のきゃりーぱみゅぱみゅやPerfumeもレコード盤をリリースしている。

 8月2日、ローソンチケットや音楽CDの販売事業などを手掛けるローソンHMVエンタテイメントが、中古レコードとCDの専門店「HMV record shop渋谷」をオープンした。場所は1990年代に「レコードの聖地」と呼ばれた宇田川町。店には約8万点もの商品を取りそろえ、洋楽の最盛期だった60年代~90年代の作品を中心に、独自に買い付けたイギリスやアメリカのレア盤や名盤なども用意している。8割が洋楽、2割が邦楽という品揃えだ。

 なぜ今レコードなのかと疑問が浮かぶかもしれないが、CDの売り上げが低迷する中、アナログの温かみある音質に注目が集まり、じわりと人気が高まっているのだ。日本レコード協会の調査では、国内のレコード生産は2009年には10万2,000枚だったのが13年には26万8,000枚に増加した。

 若者に支持されているアーティストの中でも、レコードをリリースする動きが出ている。「きゃりーぱみゅぱみゅ」は、4月に開催された世界的イベント「レコード・ストア・デイ」に合わせて限定アナログ盤を販売。海外でもファンの多い「Perfume」も5月に出した新譜「LEVEL3」をCDとレコードの両方でリリースした。

 いち早くレコード人気に火がついたのはアメリカだ。売り上げが落ち込む一方のCDに対し、レコードの売り上げ枚数は05年から増え続けており、13年度で前年比32%増の610万枚まで増加した。アメリカ最大のアナログレコード製造工場「United Record Pressing」はプレス機を増やし、約5億6,000万円をかけて工場設備を拡張した。「レコード・ストア・デイ」による売り上げ効果も確認されており、今年のイベント開催週間には売り上げが前年度からさらに11%もアップしたという。

 ローソンHMVエンタテイメントの小松正人氏によると、レコードを愛好する人は、自宅でゆっくりジャケットを眺めながら音楽に耳を傾けることが多いという。海外を中心にアナログレコードの人気が高まる中、「レコード・ストア・デイ」の盛り上がりは日本にも影響を与えている。ローソンHMVエンタテイメントは若者層のさらなる獲得に向けて、「ももいろクローバーZ」の妹分である「チームしゃちほこ」のアナログ盤リリースを計画している。古き良き時代のレコードが、低迷する音楽業界を支えていく新しいアイテムとなるかもしれない。(編集担当:久保田雄城)