オリンピック商戦本番、各企業、特需へ期待

2012年07月17日 11:00

 いよいよ開幕が迫る第30回ロンドンオリンピック。各種目の日本代表選手団が直前合宿を行うなど最終調整に入る中、オリンピック商戦も佳境を迎えているようである。観戦ツアーや記念メダルなどの定番商品から、ANAが日本代表選手を機体に描いた「がんばれ!ニッポン!特別塗装機」を国内線に就航させるなどのムードを高めるものまで、各社が様々な形でオリンピックに関する試みを実施している。こうした中、7月27日の開幕が近付くにつれて動きがより活発化しているのが、オリンピックを「切っ掛け」とした商品展開・販売戦略である。

 その代表例が、オリンピックやサッカーワールドカップなど、世界的に注目を集めるスポーツ大会ごとに特需が生まれ話題となる大型テレビであろう。しかし、日本の家電大手が相次いで同事業で大幅なマイナス成長となり組織再編や再建策に追われていることや、昨年の地デジ特需により買い替えが進んでしまったことなどから、今回のオリンピックではさほど話題にはなっておらず、特需とは言えない状況にあるようである。こうした中、ノジマが、海信日本/ハイセンスジャパンから50インチ液晶テレビの発売を発表。ハイセンス社は、中国市場で9年連続液晶テレビのトップシェアを獲得しているメーカーであり、2011年にはハイセンスグループとして全世界に約1000万台(TV出荷台数世界7位)の液晶テレビを販売している。ハイセンスの大型TV取り扱いは日本初とのことであるが、驚くべきはその価格。日本メーカーとの共同開発によるチップセット及びファームウェアを搭載しており、日本のユーザーのニーズに対応した今回のモデルは、そのスケールメリットを活かした部材の調達力により、50型で10万円を切っているという。

 一方、オリンピック終了後に発売される商品もある。例えば味の素は、必須アミノ酸4000mg配合の最先端スポーツサプリメント「アミノバイタル」GOLDを2012年8月27日(月)から全国で発売すると発表。この商品は、今年4月からロンドンオリンピック終了までの期間、日本オリンピック委員会に無償で独占供給されているもの。世界で限界に挑むオリンピック日本代表選手などのトップアスリートが抱える「日々の過酷な練習・トレーニングによる『きつさ』が残り、その結果、運動の継続に支障をきたす」などの課題解決を目的に、味の素と筑波大学スポーツR&Dコアとの共同研究として開発されたもので、独自のアミノ酸配合組成を採用しており、ヒト評価試験でもその有用性が検証されているものだという。

 このようにオリンピック関連商戦が活発化しているとはいえ、回を重ねるごとに盛り上がりに欠けていくと感じている人は多いのではないだろうか。特に今回は時差も大きく、観戦しづらい状況にあるということも影響しているであろう。趣味や娯楽が多様化し、オリンピックでは特需が期待しづらくなっているのかもしれない。