ソニー<6578>がスマートフォンの不振で2300億円の赤字を計上しそうだと発表した。同社は17日、モバイル・コミュニケーション(MC)分野における中期計画を見直した結果、2014年度第2四半期において、MC分野の営業権全額の減損を営業損失として計上する見込みとなったと発表した。また、かかる減損計上見込みを踏まえて、2014年7月31日に発表した2014年度(2014年4月1日から2015年3月31日まで)の連結業績見通しを下方修正した。
修正した2014年度連結業績見通しによると、売上高及び営業収入は7兆8000億円(7月見通しと変わらず)、営業損失は400億円(同1400億円の利益)、税引前損失は500億円(同1300億円の利益)、そして、同社株主に帰属する当期純損失は2300億円(同500億円の損失)とした。
ソニーは、以前開示した通り、主にスマートフォン関連のMC分野における実績や事業環境の変化等を踏まえ、2014年7月にMC分野の中期計画の見直しに着手し、MC分野の中期計画を変更した。この新しい中期計画では、以前の中期計画と比べて将来キャッシュ・フローが低くなる見込みであり、MC事業の公正価値が減少したため、2014年度第2四半期において、MC分野の営業権全額の減損約1800億円を営業損失として計上する見込みだ。
従来のMC分野の中期計画においては、売上高の大幅な拡大を目指していた。ところが、今回策定したMC分野の中期計画においては、モバイル事業の市場や競争環境が大きく変化したことを踏まえ、事業リスクや収益変動性を低下させ、より安定的に収益計上が見込めるよう、MC分野の戦略の変更を行った。この変更は、一部地域における戦略の見直し、高付加価値ラインアップへの集中、普及価格帯モデルの削減といった施策を含むという。
また、同日に2014 年度(2015年3月期)の中間配当が無配当になることも発表した。営業損失の計上は3期ぶりで、無配当は上場後初のことになる。昨年からリストラを繰り返すなどソニーの迷走は続く。(編集担当:慶尾六郎)