「ジャガーXE」でDセグメントへの再挑戦。二度と「Xタイプ」の轍は踏まない?

2014年09月20日 20:33

Jaguar XE World Premier at Earls Court London

英・ロンドン市内をジャックしてワールドプレミアとなった新型スポーツサルーン「ジャガーXE」、写真のモデルは、Fタイプからエンジンを移植した、もっともスポーティな「ジャガーXE-S」だ

 英ジャガーは、英国時間9月8日夕刻、英国・ロンドンで1935年から過去14台のジャガー車がデビューを飾ったケンジントン・アンド・チェルシー王立特別区のアールズコート・エキジビションセンターで、新型のコンパクトスポーツセダン「ジャガーXE」をワールドプレミアした。

 この「XE」のドラマチックな世界初公開イベントでは、英国のシンガー・ソングライターによるライブパフォーマンスやエキサイティングなショーとともに、新型ジャガーXEの独創性、革新性をアピールした。

 今回、世界初公開となったモデルは、3リッターV型6気筒エンジンをスーパーチャージャーで過給する高性能版の「ジャガーXE-S」だ。一方、“史上もっとも効率的なジャガー”といわれる、新エンジン「インジニウム(INGENIUM)」を搭載したベーシックモデルの全貌は、10月のパリサロンで明らかにされる予定だ。

 今回、公開されたジャガーXEのボディサイズは全長×全幅×全高4672×1850×1416mm。現在、同社がラインアップする「ジャガーXF」よりも、ずっと小型なモデルだ。直接的なライバルはメルセデスのCクラスやBMWの3シリーズ、アウディA4など欧州のDセグメントのクオリティブランドとなろう。

 2001年、米フォード傘下にあったジャガーは、今回と同じDセグメントモデル「Xタイプ」を発売した。米国でメルセデスCクラスやBMW3を目指したが販売不振で、その後にジャガー社そのものを経営不振に陥れた。安い「3万ドルのジャガー」はまったく売れなかった。結果として、2008年にフォードは傘下だったジャガー&ランドローバーをインドの「タタ・モーターズ(Tata Moters Limited)」に売却することとなった。(閑話休題)

 今回のジャガーXEの大きな特徴は、同社の上級車種で培ってきた最新で軽量なアルミニウム素材、アロイ「RC5754」で構成したボディモノコックだ。ボディの75%以上にアルミを採用したDセグメントでは初めてのモデル。ジャガー車ラインアップで、もっとも軽量で空力特性に優れる。また、最先端のドライバーサポート機能とエンターテインメントシステムを搭載するなど、コンパクトセダンでありながらジャガーの最新技術が投入されたモデルである。

 今春、日本にも導入されたライバルのメルセデスCクラスもボディシェルの50%がアルミで構成されており、欧州における車体軽量化のトレンドは、ボディのアルミ化にあるようだ。

 Dセグメントのスポーツサルーンとして新たに登場する「ジャガーXE」には、前述のアルミ・モノコックのほかにもニュースが多い。シャープなハンドリングをもたらすダブルウィッシュボーン式フロントサスペンション、新世代の電動パワーステアリングなども採用されている。ちなみにサスペンションは、先般テニスプレーヤー錦織圭選手がジャガーのアンバサダーに就いたことでアピールされた同社スポーツカー「Fタイプ」から移植したという。

 「ジャガーXE」は、はじめにもっとも高性能モデル「ジャガーXE S」が発売される。パワーユニットは最高出力340ps、最大トルク45.9kg.mのFタイプから移植する3リッターV6スーパーチャージャーエンジンを搭載するモデルだ。0-100km/h加速は5.1秒、最高速250km/hでリミッターが作動する。組み合わせるトランスミッションはZF製の8速オートマティックで、駆動方式はFR。ステアリングにはパドルシフトが備わる。

 この販売計画は、メルセデスならCクラスのデビュー時に、AMGモデルを最初に発売するような「掟破り」な新戦略だ。

 注目される新開発エンジン「インジニウム」搭載車は、高効率&低燃費を追求した次世代の主力エンジン。詳細は10月のパリオートショー「パリサロン」でアナウンスされる。ガソリン仕様とディーゼル仕様がラインアップされ、ともに2リッター直4直噴ターボとなる。ディーゼル仕様はCO2排出量99g/kmという低エミッションを実現しているという。

 気になる「ジャガーXE」シリーズの発売時期は、地域とマーケットにより異なるが、欧州では2015年の販売開始が予定されている。ベーシックモデルの価格については現地で27000ポンド、日本円にして461万円程度といわれる。今後、日本への上陸時期、モデルの概要や正式な価格も発表される見込みだ。(編集担当:吉田恒)