ローム、SiC-SBDとSiC-MOSFETの1パッケージ化成功

2012年07月09日 11:00

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半導体メーカーのロームが、産業機器や太陽光発電のパワーコンディショナー等のインバータ、コンバータ向けに、耐圧1200Vの第2世代SiC(シリコンカーバイド:炭化ケイ素)MOSFET「SCH2080KE」を開発したと発表した。

 半導体メーカーのロームが、産業機器や太陽光発電のパワーコンディショナー等のインバータ、コンバータ向けに、耐圧1200Vの第2世代SiC(シリコンカーバイド:炭化ケイ素)MOSFET「SCH2080KE」を開発したと発表。世界で初めてSiC-SBDとSiC-MOSFETの1パッケージ化に成功、内部ダイオードの順方向電圧(VF)を70%以上低減し、低損失化を実現するとともに部品点数削減も可能な製品となっている。

 現在、1200Vクラスのインバータやコンバータでは、一般的にSi-IGBTが使用されているもののテイル電流や外付けFRDのリカバリによる電力変換損失が大きいため、より低損失で高周波動作が可能なSiC-MOSFETの開発に期待が高まっている。しかし、従来のSiC-MOSFETは、ボディダイオード通電による特性劣化やゲート酸化膜の故障など信頼性面での課題が多いという。

 こうした中、ロームは、結晶欠陥に関するプロセスとデバイス構造を改善することにより、ボディダイオードをはじめ信頼性面での課題をすべて克服することに成功。さらに従来品に比べ、単位面積あたりのオン抵抗を約30%削減し、チップサイズの小型化を実現した。また、独自の実装技術により、従来外付けする必要があったSiC-SBDの同梱にも成功し、SiC-MOSFETにおけるボディダイオードの課題であった順方向電圧の低減も実現している。結果、一般的なインバータで使用されているSi-IGBTに比べて動作時の損失を70%以上削減。低損失化を実現するとともに50kHz以上に高周波化することで、周辺部品の小型化にも貢献するものとなっている。

 内蔵するパワー半導体素子を全てSiCで構成し、スイッチング損失を85%低減したフルSiCパワーモジュールの量産を開始して以降、太陽光発電のパワーコンディショナーや産業機器・サーバー・エアコン等の電源回路向けの第2世代SiCショットキーバリアダイオードを開発するなど、SiC製品の開発をリードしているローム。今後も開発をリードし市場を牽引していくことができるのか。動向から目が離せない企業の一つと言えるだろう。