最先端スマホ・ウェアラブル端末で噂の「気圧センサ」、その実力とは

2014年12月20日 19:15

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半導体大手のロームは12月、業界最高クラスの高度検出精度と温度特性を実現する超小型気圧センサ「BM1383GLV」の開発を発表。新規参入ながら、早急にシェア30%の獲得を目指す。

 スマートフォンはもはや電話にあらず。様々なアプリを取り込むことで、八面六臂の活用ができることは周知の通りだが、センサ技術の発展により、活用の幅がさらに広がりつつある。

 センサ技術といえば、今年9月に発売されたiPhone6と6 Plusに気圧センサが内蔵されていることが話題になったが、実はAndroid製のスマートフォンではすでに、京セラ製のURBANO(アルバーノ)やパナソニックモバイルコミュニケーションズ製のELUGA P、サムスン電子製のGalaxyシリーズ、LGエレクトロニクス製のOptimusシリーズなど、気圧センサ導入が始まっていた。

 とはいえ、スマートフォンに「気圧センサ」など必要なのだろうか。日々の生活において、いちいち気圧を考えて行動しているという人は少ないだろう。天気予報などには活用できそうだが、自分ではどう活用して良いのか分からない。現在の気圧は何hPa(ヘクトパスカル)などと表示されたところで嬉しくもない。スマートフォンには他にも温度、湿度、照度などのセンサが内蔵されているが、その中でも一番使い道がなさそうなこの気圧センサが、実は今後のスマートフォンやタブレット、ウェアラブル端末の市場に大きく影響しそうだというのだ。

 その理由は2つある。

 1つは、気圧で標高が割り出せることを利用して、位置情報の精度を上げることができるということだ。悪天候などでGPSが不安定なとき、加速度センサ、WiFiチップ、そしてこの気圧センサの3つが位置の割り出しを強力にサポートしてくれる。どれぐらいの速度で移動しているのかも、より正確につかむことができる為、スマートフォンのみならず、車載やアウトドア系の端末などのナビゲーションシステム界では、気圧センサの重要性が増しているのだ。

 また、平面的な情報しか持つことができなかったアプリに、立体的な情報を持たせることができる。例えば、高低差による負荷情報を加味した活動量計測、ショッピングモールのような屋内で立体的な位置情報・店舗情報を提供するインドアナビを実現できる。

 もう1つの理由は、クラウドソースの気象ネットワークを形成することができる可能性だ。利用者の端末から気圧の情報を集めて活用することができれば、今よりもさらに正確な予報や予測ができる。プライバシーの問題なども課題となるものの、一般的な天気予報だけではなく、農業などへの情報活用も大いに期待されている。

 気圧センサを取り巻く市場もにわかに活発になりつつある。端末を発売している京セラだけでなく、半導体大手のロームも先日、業界最高クラスの高度検出精度(プラスマイナス20cm)と温度特性を実現する超小型気圧センサ「BM1383GLV」の開発を発表している。同製品は、センサ開発に定評のあるロームのノウハウを駆使し、独自の補正演算アルゴリズムによる温度補正をIC内部で行うことで、業界最高クラスの相対高度精度を実現し、温度変化を気にせず、高精度に気圧を検知可能な気圧センサとなっている。また、ロームの強みである微細技術を発揮して、気圧センサとしては業界最小クラス(2.5mm×2.5mm×0.95mm)の極小サイズを実現。内蔵部品が増加する端末内部の実装面積にも大きく貢献する製品となっている。

 新規参入ながら、ロームはこの強力なセンサ製品を投入することによって、30%のシェアを早急に獲得することを目標としており、来年以降のスマートフォン市場、及びタブレット、ウェアラブル端末、活動量計などの市場でのシェア争いが激化しそうだ。

 スマートフォンやウェアラブル端末をより有効に活用しようとすれば、正確な位置情報の獲得は必須となる。これまでは端末の価格や通信速度、データ容量、OSやデザインなどが端末を検討する際の主な選択肢だったが、これからはセンサの有無や性能も考える必要がありそうだ。(編集担当:藤原伊織)