表現の自由を守りつつクリエイター減税も視野に MANGA議連の活動とは?

2015年01月14日 10:49

画・表現の自由を守りつつクリエイター減税も視野に MANGA議連の活動とは?

大型展示即売会「コミックマーケット87」が2014年末も東京ビッグサイト(画像)にて行われた。こうした昨今のアニメなどのカルチャーの盛り上がりを受け、「マンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟」(MANGA議連)が14年11月に設立された。クリエイター減税などの活動が検討されている

 アニメやマンガ・ゲームといったカルチャーが一般に普及してきた昨今、年末の風物詩ともなった大型展示即売会「コミックマーケット87」が、2014年末も東京ビッグサイトにて3日間行われた。今回は3日で合計56万人を動員。企業参加も年々増え、今回はなんとNHK(日本放送協会)も出展した。

 こうしたアニメなどのカルチャーの盛り上がりを受け、政府もクールジャパンとして海外に紹介するなど支援を行っているが、それをさらに後押しする「マンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟」(MANGA議連)が14年11月に設立されたことをご存知だろうか。

 MANGA議連は、麻生財務大臣兼副総理を最高顧問とする超党派議員連合だ。当初は自民党議員を中心に計画されていたが、「表現の自由に対する検閲となる危険がある」と漫画家・赤松健氏らが訴え、山田太郎参議院議員(無所属)が事務局長代行に就任。山田議員は、以前から児童ポルノ規制法改正案がマンガやアニメの表現規制につながると批判し、一貫してマンガやアニメの表現の自由を守る姿勢を保ってきた議員だ。表現規制に関しては、バランスの取れたメンバーに落ち着いたと言えるだろう。

 さらにそうした議員に加え、前述した赤松健氏の他、漫画家のちばてつや氏や里中満智子氏、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の監督・庵野秀明氏らも設立総会に招かれ、意見を述べた。

 議員連盟がまず目指すのは、マンガ・アニメ・ゲームのアーカイブ施設の設立だ。以前「アニメの殿堂」として国立メディア芸術総合センターの設立案があったが、こちらは民主党政権時代の事業仕分けによって撤回された。文化の高まりを考え、こうしたアーカイブ化を今度こそ実現しようというのが活動の中心となる予定だ。

 一方、設立総会に参加した赤松氏、庵野氏らクリエイター側から強く提言されたのが、「クリエイター減税」の導入だ。赤松氏は総会参加後に自身のツイッターアカウントにて、「国からの補助金や奨励金は審査が入るが、減税ならジャンル問わず平等で、国からの作品内容に関する介入もありません」と述べ、補助ではなく減税にすることで、表現の自由を守りつつ困窮する漫画家やクリエイターを救いたいと主張している。

 MANGA議連の活動が本格化するのはこれからだが、大切なのはこれまでのマンガ・アニメ・ゲームの文化を残すと同時に、未来のクリエイターをしっかりと育てられる環境を整えることだろう。政府主導の検閲機関になることなく、健全に文化の広がりを後押しする機関になるよう期待したい。(編集担当:久保田雄城)