名古屋鉄道は3月23日、名古屋駅前地区を再開発し、高層の大型複合ビルを建設する計画を発表した。名鉄の計画は、同社がまとめた「新中期経営計画(2015~17年度)に盛り込まれた。27年には、JR東海がリニア中央新幹線を東京・品川―名古屋で開業する。13年9月にリニアのルート案が発表されて以来、再開発の計画づくりが加速した。
今回の再開発プロジェクトは、駅前の南北400メートル、約2.8万平方メートルという中部地区最大の再開発プロジェクトとなる。名鉄にとって過去最大規模の投資となり、総事業費は2000億円とも言われている。対象区域は、JR名古屋駅に向かう「駅街区」と、駅の南側の「ささしまライブ」に向かう「南街区」に分けられる。
「駅街区」は、「利便性・快適性の高い交通施設」、「賑わいの核となる魅力的な商業施設」、「ナゴヤの国際競争力強化に資する宿泊・業務施設」という観点から、「南街区」は「ビジネス需要に応える上質な宿泊・居住施設」という観点から開発計画を立てる。「駅街区」には、上層階にホテル、その下にオフィス、低層階にバスセンター、商業施設、駅が入る高層複合ビルを建設し、「南街区」には、ホテルや賃貸マンションが入居するビルと、オフィスビルの二棟を建設する案を検討している。
昨年6月に名古屋市がまとめた「名古屋駅周辺まちづくり構想(案)」は、「世界に冠たるスーパーターミナル・ナゴヤ」を目標とするとし、まちづくりの基本方針として、「国際的・広域的な役割を担う圏域の拠点・顔を目指す」「誰にも使いやすい国際レベルのターミナル駅をつくる」「都心における多彩な魅力をもったまちをつくり、つないでいく」などを挙げた。
名鉄は再開発の全体計画を16年度末までに決め、地区のビルを所有する近畿日本鉄道や三井不動産、日本生命との合意を経て、20年の着工を目指すとしている。
名鉄にとっては、将来を左右する大プロジェクトとなりそうだ。(編集担当:久保田雄城)