百貨店の売上がふるわない。日本百貨店協会によると、10月の全国百貨店売上高は4783億円あまりで、7ヶ月連続で前年を下回った。マイナス幅は前年同月比2.2%と、9月の0.7%から悪化。消費増税後、売上高は徐々に回復していたが、ここに来て再びマイナス幅が拡大した。10月は週末を中心に、台風が2度も上陸し、一部店舗で営業時間を短縮した影響もある。夏には増加に転じると見込まれていた売上高は、なかなか上向きにならない。
入店客数は、回答のあった135店舗のうち、76店舗で減少した。月後半は気温が低下し、コートなど冬物衣料がよく売れたが、前半の落ち込みは回復できなかった。地方物産展などの販促イベントは好調だったものの、集客効果は限定的だ。
地区別では、都市部(-0.9%)、地方(-4.8%)ともに前年実績を下回った。特に地方の落ち込みは厳しく、前月のマイナス1.8%から大きく悪化している。外国人客観光客の消費で好調な都市部も、東京がマイナス0.1%と3ヶ月ぶりに前月を下回ったほか、名古屋(-2.7%)、京都(-9.2%)などで落ち込みが大きかった。
品目別でみると、化粧品はプラス6.4%と、4ヶ月連続で前年実績をクリアした。外国人観光客の土産需要で「菓子」(+0.4%)も好調だったが、全体の不振を補うには至っていない。主力の衣料品はマイナス2.8%、「美術・宝飾・貴金属」はマイナス6.4%など、消費マインドの冷え込みが続いている。
一方で、訪日外国人による消費は好調だ。従来からの円安に加え、10月1日の国慶節(中国の建国記念日)効果も大きい。今夏、東南アジア各国に対して行われた観光ビザ発給要件の緩和もプラス要因だ。10月から、免税品の対象が化粧品や日用品に拡大された影響もある。外国人観光客による売上高は118.3%増と好調で、21ヶ月連続のプラスだった。売上高は、単月で過去最高の約86億円を記録。アジア圏からの観光客は、都市部百貨店を下支えしている。東京地区では、11月中旬までの売上高が前年比1%強のマイナスで推移しており、後半にかけて回復の可能性もある。(編集担当:北条かや)