高島屋が名古屋で首位に立った理由とは?

2015年03月12日 08:41

 ジェイアール名古屋高島屋が、売上高で初めて松坂屋名古屋店を上回った。両店は決算の時期がともに2月末。決算期の売上高(速報値)は、高島屋が前期比4.7%増の1260億円、松坂屋が同1.2%増の1256億円。高島屋は、わずか4億円ながら松坂屋を抜き、ついに首位に立った。

 名古屋市内にある主要な百貨店は松坂屋、名鉄百貨店、丸栄、三越、高島屋の5店。その頭文字から「4M1T」と呼ばれている。名古屋市内の主要百貨店の売上高は4216億円(2014年速報値)で前年から3.4%増。このうち高島屋の開業は2000年3月で最後発。これに対し、松坂屋は名古屋市内で最も歴史が古い。約100年の歴史を持つ松坂屋を、開店からわずか15年で追い抜いたことになる。

 高島屋はJR名古屋駅に完成したばかりの高層ビルに出店した。駅につながる便利さを生かし、愛知だけではなく、岐阜や三重など他県の客を集めることに成功した。

 高島屋は、他店に先駆けてバレンタインの催事に力を入れてきたが、いまや「バレンタイン商戦で、日本で最もチョコレートを販売する百貨店」を自称している。イベントごとにはお金を惜しまず、流行ブランドを求める名古屋の文化に、このバレンタイ催事が合致したのだろうか。今年も、10階の催事場でバレンタインに合わせたイベント「アムール・デュ・ショコラ」が開催され、160ブランドが参加し、1500点以上の商品が並んだ。

 高島屋はまた、海外高級ブランドに力を入れてきた。昨春の改装で「ルイ・ヴィトン」など有力ブランドを売り場に導入、売り上げ拡大につなげた。2013年に売り場を改装した時計も好調だった。

 松坂屋が消費増税の影響を受けたことも両社の逆転の背景にある。松坂屋は外商部門や高額品販売の比重が高く、増税前の駆け込み需要の反動で、高島屋ほど売上高を伸ばせなかった。

 松坂屋は首位奪還を目指し、今春から来春にかけて、全売り場面積の約3割を改装する予定だ。名古屋の百貨店競争はますます熾烈になりそうだ。(編集担当:久保田雄城)