手術支援ロボットの開発が活発になってきた。この分野のロボットの発展により、外科医の手技の制御性や正確性が高まり、患者への侵襲度を低下させられるだけではなく、術後回復を早めたり、根治性を高めたりできると期待されている。
グーグルはジョンソン・エンド・ジョンソン傘下の医療機器会社エチコンと提携して手術支援ロボットを共同開発する。一方、シスメックス〈6869〉と川崎重工業〈7012〉も本格的な製品開発に入る。
グーグルとエチコンとの提携に関しては、3月26日(米国時間)にジョンソン・エンド・ジョンソンが発表した。グーグルが持っているコンピュータサイエンス、画像処理に関する技術と、エチコンが持っている手術用器具、医療に関する技術を結集する。
グーグルのライフサイエンスチームは、リアルタイムの画像解析機能を開発すれば、裸眼では確認しにくい血管や神経、腫瘍境界を明確化できる可能性があると語っている。
一方、川崎重工は4月2日、シスメックスとの合弁会社「メディカロイド」が医療用ロボットの本格開発に着手すると発表した。川崎重工が持っている産業用ロボットの技術と、シスメックスが持っている医療分野での検査・診断の技術を結集する。両社はメディカロイドに共同で25億円の追加出資を決定した。メディカロイドは、2016年度に産業用ロボットをベースに医療用に応用した製品(アプライドロボット)を、19年度に手術支援ロボットを上市する計画。
現在、臨床応用されている手術支援ロボットは、米インテュイティブサージカルの「da Vinci Surgical System」(通称ダビンチ)のみ。日本では09年に厚生労働省より薬事承認を取得している。インテュイティブサージカルは、5月下旬からダビンチの最新モデル「da Vinci Xi」を日本で販売する。
各社が総力を挙げてダビンチを追撃することで、手術支援ロボットの発展が促進されることになりそうだ。(編集担当:久保田雄城)