タイ人訪日客数が急増している。昨年の訪日客数は約66万人と、前年から一気に40万人も増えた。
時期で見ると、中国人訪日客が2月の春節(旧正月、今年は2月19日)に増えるのに対して、タイ人訪日客はタイの旧正月「ソンクラーン」(4月13~15日)に急増する。
しかも、中国人の「爆買い」には及ばないものの、タイ人の旅行消費額も急増している。日本の観光庁がまとめた訪日外国人消費動向調査によると、2014年の訪日外国人の旅行消費額(推計)は前年比43.1%増の2兆278億円に拡大したが、タイは66.8%も増加し、960億円に達している。
旅行業界もタイ人訪日客の急増に追われている。エイチ・アイ・エス〈9603〉は3月、タイ語での対応ができる外国人旅行者専門カウンターを都内3カ所にオープンした。さらに4月4日には、大阪の心斎橋オーパに「大阪ツーリストインフォメーションセンター」を開設し、やはりタイ語でも対応できるようにした。
タイ人訪日客が急増した背景には、ビザ免除、円安、LCC(格安航空会社)の就航といった理由が挙げられるが、タイの若者の日本に対する関心の高まりに注目したい。
公益財団法人新聞通信調査会が1月に行った「諸外国における対日メディア世論調査」(対象国は米国、英国、フランス、中国、韓国、タイの6カ国)によると、タイでは90.8%の人が「日本に行ってみたい」と回答している。しかも、タイでは94.1%が「日本に好感を持てる」と回答した。これは米国の74.3%、フランスの76.3%よりも高い。
博報堂の原田曜平氏と、海外在住日本人にネットワークを持つTNCの小祝誉士夫氏は、タイでは幼い頃から日本のテレビ番組やマンガで育った10~20代が多く、若者カルチャーは基本的に「超親日」だと指摘している。タイの若者に、幼い頃から好きだった日本のアニメやマンガを聞くと、「名探偵コナン」「ONE PIECE」「NARUTO -ナルト-」「BLEACH」「涼宮ハルヒの憂鬱」などがすぐ挙がるという。タイでは、「TVチャンピオン」「料理の鉄人」など日本のバラエティ番組も人気。日本の観光庁の調査では、タイ人訪日客のうち54%が女性で、世代別に見ると20~30代が多い。
親日ヤング世代が牽引する形で、タイ人訪日客は今後も拡大しそうだ。(編集担当:久保田雄城)