「高度プロフェッショナル労働制」をご存じだろうか。政府は労働時間規制を外し、成果主義に基づき報酬を支払うホワイトカラー・エグゼンプションを「高度プロフェッショナル労働制」と呼び、アベノミクスの「3本の矢」の一つである成長戦略における労働規制改革の目玉として打ち出している。しかしながら、インターネット上では労働者側の立場として反対意見もみられるという。
そこで、NTTデータ経営研究所はNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションが提供する「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に、実際に従業員一人ひとりが「労働時間の長短によらず、成果に基づいて報酬が支払われる働き方」について、層別にどのように考え、どのように感じているかの調査である「働き方に関する調査」を実施した。
その結果、働き方変革に取り組んでいる企業は、約2割(22.2%)にとどまった。また、働き方変革に取り組んでいる企業の半数以上(50.6%)の従業員が「生産性向上」を実感している。次いで、「やらされ感が減少」している(48.5%)となった。
働き方変革に取り組んでいる企業の従業員が最も継続してほしいと回答した取り組みは、「休暇取得の推進」(37.9%)である。現在、制度等はないが最も取り組んでもらいたい施策は、「全従業員を対象とした働き方に関する意識改革研修の実施」(27.7%)だった。
そして、働き方変革に取り組んでいる企業の従業員の7割以上(71.5%)が、「自分の仕事は一生懸命取り組む価値がある」と感じ、半数以上(52.3%)が自組織の業績はこの2~3年良好であると感じている。加えて、女性活躍推進について、6割の従業員が「職場の女性従業員が活躍している」と回答し、半数以上(51.9%)の従業員が「職場の50歳以上の従業員が活躍している」と回答している。
また、現在、労働時間の長短によらず、成果に基づいて報酬が支払われる働き方をしている従業員は、約4分の1(24.6%)だった。成果に基づいて報酬が支払われる働き方で働いている従業員のうち、約8割(78.1%)が同じ働き方を続けたいと回答している。従業員を報酬別にみると、300万円以上500万円未満と900万円以上の従業員は、8割を超える(81.2%、81.6%)従業員が同じ働き方を続けたいと回答している。
成果に基づいて報酬が支払われる働き方を継続したい理由として、6割を超える従業員が「過重労働になることは少なく、報酬が割に合っている」、「成果が適正に評価され、報酬に反映されている」、「ワーク・ライフ・バランスが実現できている」を挙げている。わずかな人数(32名)であるが、成果に基づく報酬による働き方を継続したくない従業員の約7割(71.9%)が、「成果が適正に評価され、報酬に反映されていない」ことを理由に挙げている。
現在は労働時間に基づいて報酬が支払われる働き方(通常の働き方)で働いている従業員のうち39.4%が成果に基づく報酬で働きたいと回答し、働きたくないと回答した従業員は、35.8%である。働きたくないと回答した従業員の約8割が、その理由として「過重労働になることが多く、報酬が割に合わなくなると思う」、「成果が適正に評価され、報酬に反映されないと思う」、「ストレスが高まると思う」と回答している。
現在の労働時間が理想であると回答した従業員は、35.3%であり、現在よりも労働時間を減らしたいと考える従業員は、約6割(58.1%)に達している。(編集担当:慶尾六郎)