塩崎厚生労働大臣は10月9日、東京都内で経団連の幹部と会談した。その席上で、長時間労働の影響は深刻だとして、各企業が、有給休暇の取得の促進や残業時間を減らすことに積極的に取り組むよう協力を求めた。現在、政府は労働環境の是正に力を入れている。
塩崎厚生労働大臣は10月9日、東京都内で経団連の幹部と会談した。その席上で、長時間労働の影響は深刻だとして、各企業が、有給休暇の取得の促進や残業時間を減らすことに積極的に取り組むよう協力を求めた。
現在、政府は労働環境の是正に力を入れている。今年6月には「日本再興戦略改訂2014」に「働き過ぎ防止の取組強化」が盛り込まれ、「過労死等防止対策推進法」を成立した。また厚生労働省は先月、塩崎大臣を本部長とする「長時間労働削減推進本部」を設置した。11月からは「過重労働解消キャンペーン」を実施し、過重労働などの撲滅に向けた監督指導や無料の電話相談などを受け付ける予定だ。
日本は世界でも突出した長時間労働をしている国だ。OECD(経済開発協力機構)が2013年に発表した調査では、日本の長時間労働者の割合は29.3%となっており、アメリカの18.1%、フランスの14.7%、そしてオランダの7.0%と比較すると高い数字となっている。
そんな中、厚生労働省は9月10日、労働政策審議会で「ホワイトカラー・エグゼンプション」導入に関する話し合いも行っている。ちなみに、就職情報サイトのエンジャパン<4849>が実施したアンケートでは、残業時間が20時間以内の企業は、ホワイトカラー・エグゼンプション導入に前向きだ。しかし20時間を超える企業では反対が多数派となっている。導入を巡っては、まだまだ議論される余地があるだろう。
後期高齢化を迎える日本社会では、これからの労働力人口の低下が問題となり、いかに多くの労働市場参加を実現するかが課題となっている。また同時にいかに少ない労働力で高い生産性を上げられるかも問われている。
現在、厚生労働省では社員の有給休暇の消化を義務付ける検討を行っている。労働基準法を改正して、法的義務にすることで欧米より低い有休の取得率を引き上げる狙いがある。次々と労働施策を打ち出す厚生労働省。女性の社会進出をサポートする必要もあり、労働環境の是正は喫緊の課題である。現在、行っている施策がどこまで実現するかで、日本の将来の経済成長が決まってくると言えるかもしれない。(編集担当:久保田雄城)