電気機器製造会社の日本電産<6594>は22日、2015年3月期の連活決算を発表。それによれば、売上高は前年同期比17.5%アップの1兆283億円であり、初めて1兆円を超えることとなった。そのほか、営業利益は前年同期比31.1%アップの1112億円であり、最終利益も前年同期比35.4%アップの762億円と、いずれも過去最高を更新することとなった。成長分野と位置付けている自動車用モーターや、家電用モーターが好調に推移したこと、また円安の影響などが業績拡大に寄与した。
日本電産の主力であるモーターのうち、自動車用、家電用、産業用などのモーターの売上高は4600億円であり、パソコン用などの精密小型モーターを初めて上回った。精密小型モーターの売上高は3979億円。こうしてモーター部門の中で事業構造の変化が生じたことも、業績拡大につながった。また営業利益は精密小型モーターが630億円であり、自動車用、家電用、産業用などのモーターの367億円を上回ったが、日本電産では2~3年間のうちに逆転するとの見通しを示している。
また16年3月期については、売上高を前年同期比12%アップの1兆1500億円、最終利益を前年同期比18%アップの900億円と見込んでおり、予想通りに推移すれば3期連続での最高益となる。
そして今回、売上高が初めて1兆円を超えた日本電産は、同日に片山幹雄副会長執行役員が代表取締役に就くとの人事を発表した。6月23日に開催される予定の株主総会後の取締役会で正式に決定される。片山幹雄氏は元シャープ<6753>の社長で、07年に49歳で同社の社長に就任したが、巨額の費用を投じた液晶パネル事業がリーマン・ショックの影響により業績不振となり、12年に会長へ、13年にはフェローに退いている。その後、14年秋に日本電産に招かれて最高技術責任者(CTO)として新規事業を担ってきていた。
今回の人事について日本電産は、片山幹雄氏のシャープでの挫折の経験は経営者として絶対必要なものであり、社長に就任することで大きな成果を挙げてほしいとの期待を示している。また日本電産を、片山幹雄氏がかつていた売上高約3兆円のシャープ以上の会社にしてほしいとしている。(編集担当:滝川幸平)