2015年GW商戦開幕。展示場への来場者増加が見込まれる住宅業界

2015年04月29日 19:28

GW

消費増税後の住宅業界では大手メーカーを中心に富裕層をターゲットにした高価格帯の商品が堅調。しかし、魅力的な商品を打ち出すことで、一般住宅でも受注を伸ばし続けている中堅メーカーも存在している。

 いよいよ、ゴールデンウィーク。今年は祝日の曜日配列がいまひとつで、大型連休になりきらない中小企業なども多い。さらに海外情勢が不安定なこともあり、国内でゆっくり過ごす傾向が強いようだ。旅行業界大手のJTBの調査結果によると、2015年度のGWの旅行動向としては、総旅行人数自体は前年比2.9%増の2386万1千人で過去最高となる見込みだが、この増加分のほとんどが海外旅行ではなく国内旅行組だという。

 海外旅行が少なくなると、国内の商業施設やレジャー施設、小売店、そして住宅展示場などへの期待が高まる。中でも注目されるのが住宅市場の動向だ。住宅業界にとってGW期間は、正月と並ぶ書き入れ時。昨年の消費税増税から一年が経ち、10%への増税も17年4月まで見送られた今、住宅業界は大きなチャンスと正念場を同時に迎えているといえよう。

 住宅金融支援機構が今年3月に公開した調査レポート「平成27年度における住宅市場動向について」によると、2014年4月-2015年1月期における新設住宅着工戸数の累計は、全体で12.4%のマイナスとなる743,031戸。個別にみると、持家が23.4%、賃貸が3.5%、分譲住宅一戸建てが8.3%、分譲マンションが14.0%と、軒並み減少しており、やはり消費増税の影響が住宅業界全体で感じられる。

 積水ハウス<1928>やダイワハウス<1925>、パナホーム<1924>などの大手住宅メーカーはこれに対応するべく、景気変動の影響を受けにくい富裕層の需要をねらった高機能、高価格帯の商品の充実を図るなど、様々な戦略を展開している。高価格帯住宅や高機能住宅の受注は、太陽光発電設備やHEMS、ZEH住宅などの認知が高まってきていることもあり、消費税率引き上げ後も底堅く推移している。また円安などもプラスに影響し、とくに都心部では功を奏しているようだ。また、パナホームなどは海外事業、とくに今年末にAEC発足で市場の活性化が予測されているASEAN地域での住宅事業拡大を積極的に行っており、4月1日にもシンガポールに新会社「パナホーム アジアパシフィック」を設立するなど、国内需要だけに依存しない経営体制を作りつつある。

 一方、一般住宅が主力となる中堅メーカーにとっては厳しい状況は続いているようだ。2015年2月の各社の受注数をみてみると、ヤマダ・エスバイエル<1919>が前年比93%、タマホーム<1419>が90%、東日本ハウス<1873>に至っては89%と軒並み前年を大きく下回ってしまった。ところが、そんな中でアキュラホームは前年比119%という受注数を叩きだしている。同社では2015年3月の受注実績が前年同月比118%と、14年10月以降6か月連続で前年同月比二けた増を記録。また、14年10月から15年3月までの6 か月間の平均値は前年同期比134%と着実に成長を続けている。

 アキュラホームの受注増を牽引しているのが、同社が昨年7月に発売した「太陽を活かす家」だ。同商品は太陽光発電システムを搭載した住宅だが、10kw未満のシステムを搭載した場合でも20年間の売電収入が得られる制度や、初期費用やメンテナンス費用がかからない屋根貸し制度など、導入プランを充実させることによって顧客の購買意欲を向上させることに成功している。さらに同社では、このGW商戦に合わせて、屋根を貸すだけで200万円の収入を目指す「太陽を活かす家-初夏-」を発売し、受注数のさらなる増加を目論んでいる。

 今年は住宅展示場などへの来場者も増えそうなムード。とくに一般住宅を主力商品に扱う中堅メーカーにとっては、ここでしっかりと顧客の需要に対応していけるかどうかが、後々の消費税10%時代の売上にも大きく影響してくるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)