4代目新型「マツダ・ロードスター」正式に発表。「守るために変えた」モデルチェンジ

2015年05月21日 09:29

RoadSter

発表会で展示されたなかで気になったのがSグレード。もっとも廉価(249.48万円)なこのグレードのみ6速MT仕様だけの設定だが、安っぽさは微塵もない。最上級の本革シートは魅力だが、差額の50万円で自分なりのカスタマイズするのも楽しそうだ

 「マツダ・ロードスター」が4代目となり、5月20日に正式に発表となった。販売を開始する量産モデルは、すでに3月5日から本社宇品第1工場で日本向けの右ハンドル仕様の生産を開始。街のディーラーでは先行商談を開始していた。マツダ・スポーツとしてのブランド・アイコンとも言えるロードスターはどう変わったのか。マツダが常に語ってきたライトウエイト・スポーツを「守るために変えた」モデルチェンジである。予約注文はすでに3000台以上だという。

 新型ロードスターは車両重量の軽量化にこだわったスポーツモデルだ。会見では開発を率いた山本修弘・商品本部主査がマグネットを手にボディの鋼板とアルミ材を区別して説明。氏によると「ボディ重心部から遠い(フロントフェンダーなど)部分と高い(ソフトトップの骨格)部分などに軽いアルミ部材を使っていると説明。つまり、動体慣性に影響を与えやすい部位を軽くしたわけだ。

 最終資料によるとボディサイズは以前の発表どおりで全長×全幅×全高3915mm×1735mm×1235mm、ホイールベース2310mm。かなり小さくて低い。

 これまで同車は、モデルチェンジを繰り返すなかで大きく重くなっていたが、新型の車重はもっとも軽いグレード「S」で、1トンを切る990kg。この軽い車重と全長と前後オーバーハングの短さが際立っている。歴代ロードスターの運動性能の特徴である“ヒラリとノーズの向きを変える”軽快なハンドリングがデータから強く伝わってくる。「ライトウエイト・スポーツという自動車文化の再興を目指した初代NA型の志に立ち返る」意志が明確にカタチになったといえる。

 ドライビングポジションを決定するドライバーズシートもマツダらしい設計だ。運転席シートのリクライニング角度を2度プラスして27度とし、シートを前にスライドさせた場合に座面が上昇する角度を従来の6度から10度に変更した。こうすることで小柄な運転者でも適切な前方視界が得られる。ステアリングのチルト量も10mm拡大し42mmとしている。的確なドラポジが確保しやすいはずだ。

 ペダル配置にも最新のレイアウトを心がけ、MT車のクラッチは従来比15mm左に移動しブレーキとクラッチペダルの間隔は、先代よりも19mm拡大。アクセルペダルはオルガン式となった。また、ステアリング径はクイックな操作を受け付ける小径366mmφとした。

 4代目のサスペンション設計にあたってマツダは、車両軸前後の上下動であるピッチングの中心を運転席の直後付近に設定した。クルマの動きと人の感覚を一致させることが狙いである。先代のピッチ軸はシフトレバー付近の車両重心点とほぼ同じ位置だったという。

 クルマの動きと人の感覚を一致させるには、減速時にクルマのノーズが下がるときや、加速時に車両のテールが下がるときに、ドライバーに違和感を感じさせない動きとなることが重要だ。普通、コーナーに入る際にブレーキを掛けて前輪荷重を増やして旋回しやすい態勢をつくる。その時、ピッチングの中心がドライバー後ろにあれば、ノーズが下がるのと同時に運転席もやや下がる。車両と運転席の動きが一致し、マツダは「気持ちよく、運転しやすい」と考えた。逆に、アクセルを踏んで加速するときも、運転席は自然に下がって「加速感を得やすくなる」という。

 ブレーキも全車同一だし、タイヤ&ホイールも全車195/50R16+16×6Jアルミホイールとなった。つまり、基本的な運動性能を左右する部分で貧富の差は少ない。前後価格の差は快適装備や本革シートなどインテリアの違いだ。

 価格は、以前にも伝えたとおり、ベーシックなSが249.48万円(6MT)、装備が充実したSスペシャルパッケージが270.0万円(6MT)/280.8万円(6AT)、本革インテリアのSレザーパッケージが303.48万円(6MT)/314.28万円(6AT)となった。ボディカラーは全7色。(編集担当:吉田恒)