ソフトバンク、「PHSからのiPhoneキャンペーン」開始

2015年05月30日 19:11

画像・ソフトバンクだけじゃない 大型買収の破談が相次ぐ米企業

ソフトバンクが28日、さらなる業績拡大に向けて新たなサービスを開始するとの発表を行った。

 右肩上がりの普及率を達成したことで、国内のスマートフォン(多機能携帯電話)市場はほとんど飽和状態にある。そうした状態のなか、低い利用料金が売りの「格安スマホ」の台頭などもあって、各キャリアは業績拡大のために様々な施策を講じてしのぎを削り合っている。そうした競争で最近大きな話題になったのは、やはり国内通話定額制とデータ容量を分け合うことのできる「定額制&容量シェア」パックサービスだろう。各キャリアともにほぼ同時期に横並びの料金でサービスを開始したが、その結果、大手3キャリアのうちの1つのNTTドコモ<9437>は、通話料金が多い顧客がそちらのサービスに流れて行ってしまい、業績を大きく落とすこととなってしまった。またNTTドコモのそうした影響は自社だけにとどまらず、親会社であるNTT<9432>の業績にも少なからぬ影響を与えることとなった。

 NTTドコモは新サービスでもって業績を落としてしまったことにより、会計基準が異なるので単純比較することはできないが、2015年連結決算の営業利益で大手3キャリア中初めて3位に転落。2位はauのKDDI<9433>であり、そして1位はソフトバンク<9984>と、「王者NTTドコモの失墜」が言われて久しいが、その傾向をますます強める形となってしまった。

 こうして「王者NTTドコモ」を抑えて営業利益で首位となったソフトバンクだが、28日、さらなる業績拡大に向けて新たなサービスを開始するとの発表を行った。新サービスは「PHSからのiPhoneキャンペーン」という名称で、5月29日から8月31日まで実施する。内容はその名の通りワイモバイルのPHSユーザーを対象としたもので、期間中にMNP(モバイルナンバーポータビリティ:番号持ち運び制度)を利用して米アップル社のiPhone(アイフォーン)5、6シリーズに乗り換えると、毎月通信量が1080円、24ヶ月間割引される。14年末以前からのPHSユーザーが対象となる。

 国内のスマートフォン市場が飽和状態にあるなか、ソフトバンクとしてはこのサービスにより自社のPHSユーザーが他社に流出するのを防ぎたい考えだが、発表時点ではMNP転出手数料や各種事務手数料の割引といった特典が付いていないことから、条件的には他社にMNPするとの大きな差はないという見方もあり、今後さらなる割引などの特典の積み増しがなされるのではないとの予想もある。(編集担当:滝川幸平)