ソフトバンク<9984>傘下でアメリカ携帯3位のスプリントが5日、1~3月期の決算を発表。それによれば、最終損益は2億2400万ドル(約270億円)の赤字であり、前年同期の赤字額である1億5100万ドルから増加した。しかし3月末時点での契約者数は5714万件であり、赤字額は拡大したものの、現在アメリカ携帯4位のTモバイルUSの5683万件をわずかに上回り、3位の座を死守することができた。しかし現在スプリントはTモバイルUSの安値攻勢により顧客流出状態にあり、いつまでもこの3位の座にいられるかは未知数だ。
スプリントの発表によれば、1~3月期の売上高は前年同期比7%ダウンの82億8200万ドルであり、最終損益は2億2400万ドルの赤字。1ドル損益は0.06ドルの赤字であり、前年同期は0.04ドルの赤字であった。
そして1~3月期の定期契約件数は21万1000件の純増で、前期の3万件の純増、そして前年同期の23万1000件の純減からの改善が続いている。しかしこうした改善の背景には、タブレット契約件数が34万9000件の純増となったことが挙げられる。電話契約件数そのものは20万1000件の減少であり、前期は20万5000件の減少であり、前年同期は69万3000件の減少と、競合他社との顧客獲得争いの激化、またライバルであるTモバイルUSの安値攻勢を受けたことによる顧客流出はまだなお歯止めがかかっていない状態であると言える。
ただし携帯事業の成長の指標となる新規契約件数(プリペイドは除く、純増ベース)は17万件の増加であり、純減だった前年同期の33万3000件の減少から一気に純増に転じた。また解約率も前期から改善している。こうした点を鑑みると、まだまだ油断はできない状況であるとはいえ、顧客流出にも一条の光明が差し始めていると言えるかもしれない。
スプリントは通信網の改修に出遅れただけでなく、TモバイルUSの安値攻勢により、現状顧客流出に歯止めがかからない状態が続いている。新規契約件数は増加したものの、利益幅が大きい料金後払い方式の契約者数については前期比20万1000件の減少となっている。(編集担当:滝川幸平)