先月、携帯大手キャリアのNTTドコモ<9437>が発表した2015年3月期の連結決算は、売上高が前期比1.7%ダウンの4兆3833億円、営業利益が22%ダウンの6390億円、最終利益が前期比11.8%ダウンの4100億円と減収減益であった。その結果、会計基準は異なるが数値を単純に比較すると、営業利益でソフトバンク<9984>が首位となり、auのKDDI<9433>が2位、そしてNTTドコモは初めて3位に転落することとなった。
こうしたNTTドコモの不振は、同社の業績だけに影響を及ぼすものではない。親会社であるNTT<9432>にも及んでいる。15日、NTTは15年3月期の連結決算を発表。それによれば、売上高は前期比1.6%アップの11兆953億円と5期連続で増収となったものの、本業の儲けを示す営業利益は前期比10.6%ダウンの1兆845億円と2年ぶりに減益となった。NTTドコモの新料金プランなどのよる不振が響く形となった。最終利益は前期比11.5%ダウンの5180億円であった。
データセンターの買収などグループ会社の海外事業の拡大により、海外の売上は大きく伸長。しかしNTT東日本、西日本が手掛ける固定電話の契約数が減少したこと、さらにはNTTドコモが導入した国内通話定額制プランに、通話量の多い顧客が流れ込んだことなどにより国内の売上は低迷した。
16年3月期の業績予想については、売上高を前期比2.3%アップの11兆3500億円と6期連続の増収を見込むとともに、営業利益も前期比10.6%アップの1兆2000億円と2年ぶりの増収増益を目指す。最終利益は前期比21.6%アップの6300億円を見込んでいる。
また同日、NTTは3ヶ年の中期経営計画を発表。そのなかでNTTは、計8000億円に及ぶコスト削減、さらなる海外事業の強化に取り組むなどの方針を示すとともに、最終年度の18年3月期連結決算では、営業利益を1兆4000億円にまで引き上げる目標を掲げている。これは15年3月期の結果と比べると、3000億円以上の上積みとなる。
このNTTの中期経営計画の鍵を握るのは、間違いなくNTTドコモだろう。今後NTTドコモが業績を引き上げることができるかどうかによって、計画の進みゆきも変わってくるものと思われる。(編集担当:滝川幸平)