矢野経済研究所では、2014年8月~2015年5月の期間、国内の中古車流通市場の調査を実施、9日にその結果を発表した。
それによると、2014年の国内の中古車小売市場規模は、台数ベースで270万台、金額ベースで2 兆8,566億円と推計した。2014年の1月~3月は消費増税前の駆け込み需要が発生したものの、4月以降は駆け込み需要後の反動減と消費マインドの低迷で中古車販売事業者は苦戦を強いられたとしている。しかし、大手中古車販売事業者を中心に早い店舗では夏頃から来客数、および販売台数が回復したことで、通年では270万台となった。
また、中古車平均小売価格は105万8,000円であった。単価の高い未使用車や良質な中古車の流通台数が増加したほか、同位クラスでガソリン車よりも高額なハイブリッド車等の環境対応車が販売されたことが要因である。この結果、中古車平均小売価格に中古車小売台数を掛け合わせた金額ベースの市場規模は 2兆 8,566 億円となった。
一方、オートオークション市場は、新車・中古車販売台数の増加に伴って出品台数が増加した。特に消費増税前の駆け込み需要でディーラーや中古車販売事業者における在庫が急激に膨らんだことで在庫調整が発生したため、例年よりも良質な中古車(年式7年以内、走行距離:5万km 未満)の流通台数が増加した。また、平均成約単価は、中古車輸出市場が好調に推移する中で、中古車輸出事業者、中古車販売店、解体事業者による仕入競争が激化したことで、リユースオークションを含めて全体的に年間を通して高騰する結果となったとしている。
また、2014年の国内の中古車買取市場は約70万台と推計した。メーカー系ディーラーによる下取強化、中古車販売店やカー用品店、ガソリンスタンド等の異業種からの参入によって買取価格は高騰している。引き続き、メーカー系ディーラー、中古車買取専門店、新規参入事業者による競争は激化すると見ている。
財務省貿易統計によると、仕向地別の中古車輸出台数は、トップを続けていたロシアが情勢悪化やルーブル安の影響を受けて輸出台数が落ち込んだものの、好調を維持するミャンマー向け、ニュージーランドやグルジア向けの輸出台数が増加し、中古車輸出市場全体を牽引した。また、経済発展を背景にアフリカ諸国向けの中古車輸出台数が拡大している。引き続きアフリカ諸国の経済発展が見込める中で、現地に拠点を構える事業者が出てきており、アフリカ諸国における需要が中古車輸出市場を支えている状況は続くものと見ている。(編集担当:慶尾六郎)