富士通が、独立行政法人理化学研究所(理研)と共同で開発を進めてきたスーパーコンピュータ「京(けい)」が最終的な動作確認試験を終えて完成したと発表。今後、運用環境設定や調整運転、ユーザ登録など共用に供するための環境整備を、一部先行利用を継続しながら実施し、本年9月末から共用を開始する。
理研と富士通が共同で開発を進めてきた「京」とは、性能ランキング「TOP500」で、2011年6月、2011年11月と世界第1位を2期連続で獲得したことで話題となった、高性能・低消費電力のCPUや超大規模構成を可能とするネットワークなど、数々の先端技術を結集して高性能・高信頼を追求したスーパーコンピュータのこと。2010年9月末から搬入を開始し、2011年8月末に864筐体全ての搬入・据付が完了。6月29日に、ユーザの利便性やハードウェア性能を最大限に引き出す機能を備えたシステムソフトウェアが整い、「京」全体の動作確認を終了したという。
今後、シミュレーション精度や計算速度の飛躍的な向上により、ナノ電子デバイス材料の性質をシミュレーションで解析して早期に開発することや、新薬の開発期間の短縮や開発コストを削減、地震防災予測計画・耐震設計、集中豪雨など局所現象を解明する高精度な気象予測情報の提供など、さまざまな計算科学の分野で広く利用され、世界最高水準の成果創出に貢献することが期待される。
「京」は、性能ランキング「TOP500」での2期連続首位だけでなく、CPUの演算性能・メモリへのアクセス性能・ネットワークの通信性能など、システムを構成する主要な要素の性能が評価されるHPCチャレンジ賞4部門全てで首位を獲得。毎年11月に開催される高性能計算技術に関する国際会議SC11で、ハードウェアとアプリケーションの開発において最も優れた成果を上げた論文に付与されるゴードン・ベル賞の受賞なども果たしている。本格的な共用が開始が我々の生活にどう表れてくるのか、2期連続首位をとった性能だからこそ実現できた成果を、一日も早く見せてくれることを願いたい。