パナソニックとJTBが観光分野でタッグ

2015年07月06日 08:59

画・パナソニックとJTBが観光分野でタッグ

近年、訪日外国人観光客が急増しているが、サービス・インフラ面の問題点も指摘されている。外国人が「言葉の壁」に不便を感じることが多いなど、日本が売り物にしようとしている「おもてなし」という点でも、改善の余地が残されていると指摘されている。

 ジェイティービー(JTB)とパナソニック<6752>は6月22日、JTBの持つ観光分野での知見やノウハウと、パナソニックの持つICTソリューション技術とを組み合わせることで、観光分野での新たな事業創出を目指して提携すると発表した。東京オリンピックが開催される2020年には訪日外国人観光客が2000万人に達すると見られており、外国人観光客へのサービス向上に積極的に対応する。

 近年、訪日外国人観光客が急増しているが、サービス・インフラ面の問題点も指摘されている。日本を訪れた外国人が「言葉の壁」に不便を感じることが多いなど、日本が売り物にしようとしている「おもてなし」という点でも、改善の余地が残されていると指摘されている。

 こうした中で、両社は第一弾として、訪日外国人観光客向けの自動翻訳機の実用化に取り組む。現在パナソニックが国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICT)とともに研究開発を進めている多言語翻訳技術を活用する。この技術を使用したシステムには、高画質のタブレット端末にマイクが付いており、話し掛けると数秒後に翻訳された音声が再生されるとともに、ディスプレーに文章も表示されるしくみ。この技術を用いた自動翻訳機の実用化に向け、7月から実証実験を始める。

 JTBの取引先である和倉温泉加賀屋(石川県)、京都ホテルオークラ(京都府)、JR東京駅前の観光案内所(東京都)など、外国人観光客が訪れる旅館、ホテル、観光案内所などの協力を得て、自動翻訳機を設置して実証実験を進める計画だ。

 この実験により、翻訳性能や観光客のニーズを調査して実用化につなげ、全国の施設への設置を進める方針だという。当初は日本語、英語、中国語、韓国語の4カ国語に対応し、20年にはタイ語などを含めて10カ国語に対応させる計画。

 両社は今後、パナソニックが技術を持つ電気自動車や電動自転車向けの充電スタンドの配備でも連携する予定。さらに、観光客の観光履歴をもとに一人ひとりの好みに応じた情報をスマホ向けに提供するサービスなども検討している。

 両社の提携によって、新たな外国観光客向けサービスの発展が促されることになりそうだ。(編集担当:久保田雄城)