[日経平均]乱高下をプラスで終わらせた甘利発言第2弾

2013年01月17日 18:59

NYダウは23ドル安。前夜は88円台後半だったドル円、118円台前半だったユーロ円は、朝から前場にかけてそれぞれ88円近辺、116円台後半まで円高が進んだ。それでも17日の日経平均は60.5円高の10660.94円で始まり、9時半過ぎにいったんマイナス圏まで落ちながら10時台まで10694円まで上昇するV字カーブの荒い動き。それでも前場はおおむねプラス圏を維持した。ところが後場は大幅安で始まった上に乱高下。10500円をはさんでしきりに浮いたり沈んだりし、一時は10432円まで下げた。このまま3ケタ安で続落かと思いきや、大引け直前、為替がドル円88円台後半、ユーロ円が117円台後半へ一気に円安進行。日経平均も急上昇して、終値は9.20円高の10609.64円と、ジェットコースターのような1日はなんとプラスで終わった。39億株、2兆2224億円の大商い。

  午後3時前に何が起きたかというと、またもや甘利明経済財政・再生担当大臣の“口”。「円は依然として行き過ぎた上昇の修正局面にある」と今度は円安容認発言がダウ・ジョーンズで伝えられ、それが一斉に円売りを誘って株価が急騰した。甘利大臣は2日前に日経平均1万1000円台目前だった株価を自分の「舌禍」で下落させたことを「誤解されて遺憾」と話しており、絶好のタイミングで罪滅ぼしができ、本人も満足だろうか。

  TOPIXもプラスだったが、東証1部は値上がり銘柄数607よりも値下がり銘柄数984のほうが多かった。値上がり業種上位は情報・通信、金属製品、ゴム、医薬品、輸送用機器などで、値下がりが目立った業種は建設、倉庫、海運、不動産、パルプ・紙と、どちらも輸出関連、インフラ関連、ディフェンシブ系がごちゃ混ぜ。この日、市場がいかに混乱していたかを物語る。

  その中で元気だったのは電機株で、中でもパソコンメーカー、レノボとの提携が伝えられたシャープ<6753>は23円高で値上がり率8位、売買代金1位、売買高2位と活発に売買された。ソニー<6758>も55円高で、終値で1000円台を回復し売買代金4位。パナソニック<6752>も2円高で、巨額最終赤字三兄弟は揃って上昇した。NEC<6701>も10円高で売買高9位に入っている。自動車株ではトヨタ<7203>が55円高で売買代金5位、ホンダ<7267>も55円高だったが、マツダ<7261>は売られて株価100円台に逆戻りした。

  日本取引所グループ(JPX)<8697>は360円高で値上がり率5位に入り一時株価5000円をつけた。主力株で値下がりが目立ったのは三井不動産<8801>の58円安、三井物産<8031>の15円安など。10円高のJAL<9201>よりもボーイング787を多く保有し国内線の欠航が相次いでいる全日空<9202>は1円安。ボーイングにバッテリーを納めているGSユアサ<6674>は16円安で続落した。アルジェリアで社員が武装勢力の人質になった日揮<1963>は53円安。株式市場は非情だ。

  今日の主役は値上がり率1位に入ったダイソー<4046>、と言ってもあの100円ショップ(その大創産業は非上場)ではなく、化学メーカーの旧・大阪曹達。リチウムイオン電池の寿命を4倍以上に延ばすアクリル系樹脂の電極用接着剤を開発したという報道がきっかけで、来年をメドに販売を開始するという。ハイブリッドカー、電気自動車向けの需要が盛り上がると期待できるが、いま問題の航空機用バッテリーでも使われるだろうか。(編集担当:寺尾淳)