「買う」べきか、それとも「借りる」べきか。 住宅の世界では永遠のテーマともいえる「持家VS賃貸」の問題。
2014年7月に総務省が発表した「住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家は820万戸にのぼり、総住宅数に占める空き家率は13.5%を超えた。しかも、この数字は今後も年々増加するとみられており、さらには5月に「空き家対策特別措置法」が完全施行されたことなども手伝って、「家は買わずに借りるべき」という意見が少し優勢になりつつあるようだ。
しかし、実際のところはどうなのだろう。住宅を取り巻く今の状況を専門家はどう見ているのだろうか。住宅は買うべきなのか、それとも借りるべきなのか、アキュラホームに話を聞いてみた。
まず、何よりも気になるのが「今、家は買いどきか、否か」ではないだろうか。賃貸派はもちろん、持ち家派であっても、「買い時」でなければマイホーム購入のタイミングはずらした方が懸命だろう。この質問について、アキュラホームは個人個人の状況にもよるとしながらも、今は超低金利の時代で、しかもこの低金利はしばらくは続くと予測されることから、金利のメリットを大いに活用できるという意味でも「買い時」であろうという。確かに、今後、多少の変動はあっても、バブル時のような高金利にはならないだろう。それならば、あまり無理のない住宅ローンを組んで、繰上げ返済などで元金を減らすなどした方が得策だ。
また、景気が不安定なことによる買い控えに対しても、一度大きなバブルが弾けて辛酸を嘗めている日本では、ローンの負担が大きくなって払えなくなるような状況にまで陥ってしまうことは考えにくいし、今後、経済が停滞すると予測されるのであれば、その前に計画的にローンを組み、省エネ住宅を建てるのも自衛手段の一つだ語る。さらに不景気の際は買い手側に負担を押し付けるのではなく、売り手側の企業努力で対応していくべきと言う。
では、老後に対してはどうなのだろう。少子高齢化社会に突入し、日本ではサービス付き高齢者向け住宅、いわゆる「サ高住」への関心が高まっている。そんな中、将来的なことを考えれば、持ち家がかえって足かせになりはしないかと心配する声もある。しかし、サ高住はあくまで高齢者が他人に迷惑をかけないために買う住宅であり、一生を過ごすマイホームとは別のものであるという。他人のサービスに頼るのは便利だが、そもそも、人生の最後の時間をサ高住で過ごしたいのかという根本的な問題もある。多くの人が、最後の時まで最愛の家族とともに生活することを望むだろうし、居住性においても、サ高住はマイホームには及ばない。サ高住や施設ではなく、高齢者が暮らしやすい地域環境を作っていくべきだという。
結局のところ、買うのも借りるのも自分次第。十把一絡げに安易に考えたり、他人の意見に頼るのではなく、収入、家族構成、将来設計などを十分に考えて「買う」「借りる」を判断するようにしたいものだ。(編集担当:藤原伊織)