脳活動のパターンをTVCM評価に応用 NTTデータがトライアルサービスを開始

2015年08月08日 20:12

 TVCMなどの動画を用いた広告は、時系列に進む映像の中で視聴者にブランドやメッセージを訴求するマーケティングコミュニケーションの手法であり、その広告表現内容について、これまでは静止画を見せて主観で解答するといった方法で評価を行っていた。しかし、これまでの評価方法では、シーンごとのリアルタイムな印象など、より実態に即した精度でのきめの細かい評価を行うことが難しく、評価を踏まえた効果的な改善施策の構築が困難だった。また、記述や口述によるアンケートでは、回答者の意識に依存した評価のみとなり、その精度や内容の向上に限界があった。

 そこで、従来の評価方法に加えて、視聴者の「脳」の反応データを加味することによって、これらの課題を解決する試みが開始された。NTTデータ<9613>は、NTTデータ経営研究所、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、テムズと共同で、TVCMを中心とした動画広告の評価・改善・出稿前の効果予測などに、脳情報解読技術が応用可能な技術であることを、実証実験により確認したと発表した。

 実証実験は、TVCMなどの動画広告・コンテンツに対する視聴者の評価を、視聴中の複雑な脳活動のパターンから可視化する脳情報解読技術の検証を目的として、3月から7月までの5カ月間実施した。この脳情報解読技術は、NICT脳情報通信融合研究センター(CiNet)で研究開発している技術であり、この技術を活用することによって、従来型の広告効果測定に加えて、動画広告・コンテンツに対する、「脳」という新たな観点の評価を行うことが可能となるという。

 実証実験は、3月にNTTデータをはじめとして、広告主である企業5社から協力を得るとともに、TVCMのマーケティング調査で多くの実績を保有するテムズの協力を得て、TVCM視聴時の男女4名の脳活動データをfMRI(機能的核磁気共鳴画像法:脳の局所的な血流変化を捉える測定方法)にて取得した。1人当たり約3時間におよぶ脳活動データとクリエイティブ評価、その他メタデータを組み合わせ、デコーディングモデル(脳活動から認知内容などを推定する数理モデル)を作成し、評価対象のTVCMの印象などの解読を行った。

 その結果、TVCMを見ている時の脳活動のパターンから、視聴者の認知内容を解読するためのモデルを構築した結果、評価したいCMのシーンごとに、その視聴中の脳活動から「認知対象物」、「認知対象動作」、「印象」について、尤度(確率)の高いものをアウトプットすることが可能となった。また、TVCMの型式(ブランド型、商品訴求型等)や手法(実写・アニメーション)についても、それらを問わず幅広く対応することが可能であることもわかった。

 2015年9月以降、この実証実験の成果をもとに、実際のマーケティングソリューションとして動画広告・コンテンツ評価サービスのトライアルバージョンの提供を開始する。このサービスは、最先端の脳活動情報のビッグデータ、実社会のメタデータ(認知率や到達効率等)、人工知能による自然言語処理技術、脳情報解読技術を組み合わせた、世界初のサービスとなるという。

 サービスは、NTTデータグループにおいて、2016年4月より本格的な商用化を開始する。今後、対象とする範囲の拡大や、提供するアウトプットの向上に取り組み、世界に先駆けた次世代の脳情報通信産業活性化に向けて取り組んでいくとしている。(編集担当:慶尾六郎)