日本電産の子会社である日本電産セイミツ(NSTJ)が、ベトナムに子会社を設立、新工場を建設すると発表。新会社への出資金は900万米ドル、新工場への総投資額は4000万米ドルで、ブラシ付携帯電話用振動モータを月4500万台生産する。
NSTJは、中国・インドネシアに工場を持ち、携帯電話用振動モータでは世界シェアNo.1のモータメーカーである。しかし、携帯電話用振動モータをはじめとする精密小型モータ市場は、今後も高い成長率が見込まれており、今後も市場拡大に対応した生産能力の増強と、これまで以上に高い生産性と高品質を実現するべく、新工場の建設を検討していたという。こうした中、ベトナムは、豊富な人材と地理的条件にも恵まれていることや、日本電産グループ会社が先に工場展開を進めていることから、NSTJの第三のモータ生産拠点国として適当であると考え、子会社・新工場を設立するに至った。
日本電産グループは、1997年に日本電産トーソク・ベトナム会社を設立して以来、同国に合計10社のグループ企業が進出しており、新会社はベトナム社会主義共和国として11社目の進出。さらに、工場設立予定地のホーチミン市内サイゴンハイテクパーク(SHTP)では5社目のグループ企業の進出となる。また、日本電産グループは、ホーチミン市内で約2万2000人を雇用する市内最大規模の企業グループとなっているが、新工場稼動後は約2万5000人を雇用する事になるという。
日本電産グループに限らず、経済発展著しいベトナムに進出し、製造拠点を設ける企業は増加している。しかし、勢いに任せた進出は、大人数を雇用することによる平均賃金上昇時の経費増大など、リスクも伴うものである。中国がその好例であろう。各企業によるベトナム進出及び同国での事業拡大が、長期安定したものとなるのか、それとも一時的な潮流に終わってしまうのか、その動向に注目したい。