女性管理職の割合は平均6.4% 半数の企業に女性管理職が不在

2015年08月24日 08:25

 生産年齢人口の減少や共働き世帯の増加などもあり、職場における女性の存在感の高まりがみられるなか、政府は女性の活躍促進を成長戦略と同時に、地方創生の一環としても重要政策として打ち出している。また、企業においては新しい視点の取り入れや男性の働き方改革としても位置付けられるなど、人手不足に対する労働力確保だけでなく、企業の成長に女性の活躍が不可欠という認識も高まっている。

 そこで、帝国データバンクは、女性の活用や登用に対する企業の見解について調査を実施した。その結果、女性管理職がいない企業は50.9%と半数にのぼり、女性管理職の割合は平均6.4%にとどまることが判明した。

 まず、自社の従業員に占める女性の割合を尋ねたところ、「30%以上」と回答した企業は28.3%であった。また、「10%未満」(23.8%)と「0%(全員男性)」(5.7%)を合わせると、女性従業員割合が10%に満たない企業は29.5%となった。

 他方、自社の管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合では、「30%以上」とする企業は5.9%にとどまった。逆に、「0%(全員男性)」が50.9%で半数にのぼり、さらに「10%未満」(29.9%)と合わせると、女性管理職が1割に満たない企業は80.8%にのぼった。その結果、平均女性管理職割合は6.4%となった。

 自社の役員(社長を含む)に占める女性の割合では、「0%(全員男性)」が 61.5%で6割を超えている。さらに、「10%未満」(15.1%)と合わせると、女性役員が1 割に満たない企業は76.6%と前年と同水準だった。また、「30%以上」とする企業も11.0%で、平均女性役員割合は8.4%だった。

 また、女性管理職の平均割合を規模別にみると、規模が小さくなるほど女性管理職の割合は高くなっている。業界別では、『小売』『不動産』『金融』『サービス』で高く、『運輸・倉庫』『建設』『製造』などで低かった。特に『不動産』では「実力があれば女性でもどんどん登用したい」(東京都)など、積極的に登用を進める企業も多かった。ただし、下位業界においても「意欲的に業務を行う女性従業員について、積極的に支援していきたい」(一般貨物自動車運送、愛知県)といった意見がみられるなど、女性管理職割合は少しずつ上昇する傾向にあるとしている。

 そして、自社の女性管理職割合は5年前と比較してどのように変わったか尋ねたところ、「変わらない」とする企業が71.4%と多数を占めている。割合が「増加した」と回答した企業は18.8%、逆に「減少した」企業は4.4%にとどまった。他方、現在と比較して今後どのように変わると考えているか尋ねたところ、企業の約 6 割が女性管理職の割合は「変わらない」とみているものの、企業の2割超で女性管理職の割合が「増加する」と見込んでおり、女性の管理職登用については、概ね拡大していくと考えている様子がうかがえるとしている。

 自社において女性の活用や登用を進めているか尋ねたところ、企業の41.1%が「進めている」と回答した。他方、女性の活用や登用を「進めていない」企業は約3割であった。女性の活用や登用を進めている企業にその効果を尋ねたところ、「男女にかかわらず有能な人材を生かすことができた」が7割を超え、突出して高かった。

 女性の活躍が促進されるためには、「社会の制度拡充」「家庭の負担軽減」「職場の働き方見直し」が今後のキーポイントになることが、調査の分析から確認できた。日本が女性の活躍できる社会となるには、女性の働き方だけでなく、社会制度や男性の働き方、職場の各種制度を整えていくことが重要となろう。(編集担当:慶尾六郎)