政府は2020年までに「あらゆる指導的地位に占める女性の割合を30%にする」との目標を掲げる。数値目標の設定は、企業に対して「女性管理職を育てる仕組みづくり」をうながす効果もある。が、現状は厳しい。「男女共同参画白書(平成25年版)」によると、従業員5000人以上の大企業の約半数、従業員1000~4999人の企業の45.9%が、「総合職/一般職」に分けた人事制度を導入しており、管理職を育てやすいといわれる「総合職」の採用予定者に占める女性の割合は、11.6%(平成23年)、総合職の在職者に占める女性割合は、わずか5.6%にすぎない。さらに、10年前に採用された女性総合職の離職割合は65.1%で、男性の2倍以上に達する。同じく10年前に採用された総合職の女性が、すでに全員「離職」している企業は48.9%にのぼり、「管理職候補として採用しても数年後には辞めてしまう女性を、育てる気にならない、管理職候補となる女性がいない」という企業も多い。
一方で、明るいデータもある。インテリジェンスHITO総合研究所が今年1月、全国に住む25~44歳の「メンバー層」の女性1025人を対象に行なったウェブ調査では、30~34歳女性の4人に1人が「管理職になりたい」と答えた。「管理職になりたいと思う」との回答は、全体で22.9%。年代別にみると、社会人10 年前後を迎えた「30~34歳」が最も高く(26.3%)、4人に1人に達した。次いで「35~39歳」(23.6%)、「25~29歳」(22.9%)の順となっている。最も管理職志向が低かったのは「40~44歳」(18.8%)だった。
「管理職になりたい理由」について聞いたところ、全世代で圧倒的に多かったのは「年収を上げたいから」で、おおむね7~6割を占めた。続く「肩書が欲しいから」は1割前後で、女性が「上」を目指す動機で最も大きいのは「年収の向上」だと分かる。ただし、管理職になりたい理由として「年収」と「肩書」をあげる女性は、年代が上がるとともに減少していく。一方で、年代が上がるとともに増えるのが「人材の育成・マネジメントがしたいから」という回答だ。30代前半では4.4ポイントなのに対し、40代前半では15.3ポイントと、大きく跳ね上がる。女性たちが考える「管理職になるメリット」は、年齢とともに「自分の年収やステイタス向上」よりも、「後輩の育成」へと移り変わっていくようだ。
今回の調査では、「管理職志向」が最も強いのは30代前半女性という結果だった。こうした意欲をもつ女性たちが、モチベーションを下げることなく、スムーズに管理職を目指せるよう、「育てる側」の力も問われている。(編集担当:北条かや)