初就職時から働き続ける女性は約2割しかいない。電通総研の調査で判明した。電通総研は、日本の「今とこれからの働き方」を研究・提言する、「□×働く」スタディーを開始した。その第1弾として、成長戦略の中核として期待されている「女性の活躍推進」に注目し、「女性×働く」調査を2014年12月に実施した。この調査は、働いた経験を持つ三大都市圏の20~59歳女性3,700名を対象に、働き続けること、再び働くこと、辞めることへの意識や実態などについて聞いたもの。
調査結果では、働き続けている「仕事継続層」は全体の約2割を占め、一度仕事を中断し再開した「仕事中断・再開層」が約4割、仕事を辞めたままの「仕事中止層」が約4割であることが明らかになった。また、有職女性の9割以上(92.6%)に管理職志向がないこともわかった。
初就職時から働き続けている女性は約2割にとどまった。現在働いている・いないにかかわらず、働きたいと思っている女性は全体の約8割を占める。
また、「仕事継続層」が初就職時点で何歳まで働き続けたかったかの平均は43.6歳と、「仕事中断・再開層」の37.0歳、「仕事中止層」の33.3歳に比べて高く、働き続けている女性は初めから「より長く働きたい」と考えているという。そして、働くことに関して、約半数(49.2%)が「母親」の影響を受けているという。さらに、自分の「母親」は、「仕事を続けるべきだ」という価値観と「働き続けるよりも結婚・出産、家事・育児を優先すべきだ」という価値観を合わせ持つと感じており、女性(娘)が働く際の価値観に「母親」が矛盾と戸惑いを与えている可能性があるとしている。
他方、働きながら子育てをしている「仕事継続層」の周囲には、配偶者・親などの家族、上司・同僚など、「仕事中断・再開層」より多くの「力になってくれる人」がいる。「イクボス**」の認知率は約2割にとどまるが、「イクボス」がいると働きやすくなると捉えている人は約6割に上った。
女性が希望する雇用形態・勤務形態は人によって異なるが、個人の中でもライフステージの変化とともに変わっていくという。また、働いている女性でも、9割以上(92.6%)が非管理職志向となった。また、過半数はロールモデルを欲しいと思っていない。「2030」(政府による指導的地位に占める女性の割合の数値目標)の認知率は44.5%にとどまる。また、女性管理職が増えるだけでは女性全体が働きやすくなるわけではない、と捉えている人が多かった。
仕事を辞めたことのある女性の約7割(69.2%)は「退職してよかった」と思っているが、そのうち約半数(48.5%)は仕事を再開し、仕事を再開していない「中止層」でも約7割(68.2%)は「今後働きたい」と思っていることもわかった。再就職時は「自分の経験やキャリアをいかせるか」(13.5%)よりも、「勤務場所」(64.6%)、「勤務時間」(63.4%)、「雇用形態」(47.4%)、「勤務日数」(45.0%)などを重視しており、家庭の事情を優先させているとしている。(編集担当:慶尾六郎)