岸田文雄外務大臣は24日の参院予算委員会で、韓国・北朝鮮の緊張状態について、両国高位級官僚間の接触が「緊張の緩和につながることを期待している」と語った。
岸田外務大臣は両国間に緊張が生じた経緯について「8月4日に韓国(エリア)の南北非武装地帯で韓国兵2人が地雷爆発で負傷する事件が発生した。韓国は北朝鮮が韓国側に不法侵犯し地雷を意図的に埋設した明白な挑発とし、北朝鮮に謝罪と責任者の処罰を求めた。そして、南北非武装地帯での政治宣伝放送を11年ぶりに再開した。北朝鮮は放送を中止するよう警告し、20日、北朝鮮は南北非武装地帯で2度にわたり砲撃。韓国は対応射撃を実施した」と説明した。
そのうえで、岸田外務大臣は「22日の夕刻から両国高官が断続的に接触している動きがあり、今、現在も続いている。日本としては北朝鮮による砲撃での緊張の高まりを強く懸念している。北朝鮮は挑発行動を自制すべき。そして、今回の(南北)高官の接触が緊張の緩和につながることを期待している。日本は引き続き情報収集・分析につとめるとともに、米国・韓国などと緊密に連携しつつ、対応に万全を期す」と答えた。
自民党の岡田直樹議員の質問に答えた。岡田議員は「北朝鮮の戦術は緊張感をぎりぎりまで高めておいて寸止めする、瀬戸際作戦だとか、大規模な軍事演習に過ぎないのではとの見方もあるが、私は、極めて懸念すべき事柄と考える。外務、防衛において慎重に注視して頂きたい」と一層の注視を求めた。
また岡田議員は「新聞記者時代の平成9年、10年に北朝鮮を訪ね取材した経験から北朝鮮が驚くべき軍事独裁国家だと肌で感じた。(その時より、現行の指導者には)危うさを感じる。次々と自国要人を処刑する恐怖政治としか言うほかない」と危惧し、関係諸国と連携した外交努力を要請した。(編集担当:森高龍二)