富士キメラ総研は、法人向けスマートデバイス(スマートフォン、タブレット端末)関連ビジネスの国内市場を調査・分析した。その結果を報告書「2015 法人向けスマートデバイス関連ビジネスの全貌」にまとめた。それによると、2014年度の国内法人向けスマートデバイス関連ビジネス市場は5,820億円となった。さらに、2019年度は1兆2,084億円と14年度の2.1倍に拡大すると予測した。
この報告書では、法人向けのスマートデバイス市場をはじめ、関連するアプリケーション・通信・セキュリティ・保守サービスなどの市場と、各市場主要ベンダーの動向や事業戦略を分析し、スマートデバイス関連ビジネス市場の将来性を明らかにした。
2010年以降、法人向けにもスマートフォン、タブレット端末の導入が進んだ。導入当初は業務上のメールや通話などのコミュニケーション用途での利用が主体であったが、現在では利用用途に広がりをみせ、2015年にはさまざまな業界や職種で利用されるようになっているという。このような状況を踏まえ、各ベンダーは業界ごとの利用用途を研究し、新たな提案とマーケット創出に取り組んでいるとした。
法人向けのスマートデバイス販売、関連アプリケーション・通信・セキュリティ・保守サービスなど、スマートデバイス関連ビジネスの国内市場は、2014年度に5,820億円となった。通信サービスの実績が最も大きいという。これは音声通話やデータ通信がスマートデバイスを利用する上で基本となるサービスであり、かつストック型ビジネスであることが要因であるとした。2015年度以降は、音声通話やデータ通信以外にもSIMカード提供タイプのMVNOサービスが徐々に法人向けにも浸透し、市場拡大に寄与すると予想している。
スマートデバイス販売はフロー型ビジネスであるが、新規需要は依然としてあり、既導入企業からのリプレース需要も期待される。また、2015年に発売予定の「Windows10」により、PCからの移行も取り込み市場は拡大すると予想している。
アプリケーションサービスはライセンス/サポートとシステムインテグレーション(SI)を含み、ライセンス/サポートはモバイルPOSなどの店舗運営支援ソリューションの伸びが期待され、SIは基幹系システムと連携させた個別アプリケーションの開発案件が増加しているという。
セキュリティツール/サービスはモバイル管理ツールを中心としたビジネスである。MDMはコモディティ化が進む一方、EMM(Enterprise Mobility Management)など新たなモバイル管理ツールが登場し、大手企業を中心に普及すると予想した。
また、店舗運営を支援するソリューション(パッケージ/SaaS)市場が注目されるという。2014年度は28億円だが、2019年度は152億円に拡大すると予測している。最も導入が進んでいるのがモバイルPOSであるという。モバイルPOSは今までコスト面からPOS端末を導入できなかった中小規模店舗の需要を獲得し、市場を形成した。近年は大規模店舗・チェーンでも導入の動きがみられる。また、飲食店ではモバイルPOSとモバイルオーダリング、モバイルセルフオーダリングとの連携活用も進みはじめているとした。
さらに名刺管理市場も注目される。2014年度は53億円となり、2019年度は113億円と予測している。ライセンス・サポートは初期導入や月額利用料の他、名刺を取り込むための専用スキャナー貸与、オペレーター入力費用が含まれる。使い勝手の良さから複数部門に利用が広がるケースもみられ、1社当たりの登録者数の増加を背景に利用料金が増加しているとしている。 (編集担当:慶尾六郎)