富士キメラ総研は13日、2013年10月から2014年1月にかけて、国内のブロードバンド・モバイルサービス市場を調査し、その結果を報告書「2014 ブロードバンド・モバイルサービス総調査」にまとめたと発表した。
この調査では、コンシューマー向けサービス18品目と、関連プラットフォーム10品目を対象として、ブロードバンド・モバイルサービスビジネスを総合的に捉えた。インターネットサービスと親和性が高いスマートデバイスの普及が進んでいることが、インターネットを利用したサービス全体の市場拡大の追い風となっている。スマートデバイスの普及によりサービスのマルチデバイス対応が進展しており、特定のデバイスでしか利用できないサービスは需要が低迷するとみている。
12年度のスマートデバイス向けコンテンツサービス市場(映像配信/放送サービスとオンラインゲーム)は3482億円となった。このうち、8割弱をオンラインゲームが占めた。暇つぶし需要の獲得や、基本無料のサービス展開により多数のユーザーを獲得し、追加課金によるマネタイズに成功したことが拡大につながった。
その他、モバイル端末がフィーチャーフォンから操作性や表現力が高いスマートフォンへ移行していることなども影響し、オンラインゲームは2750億円となった。今後も堅調な拡大を続け、17年度には12年度比2.8倍の7780億円を予測した。
映像配信/放送サービスはマルチデバイス対応の進行と共に大きく成長が期待される。フィーチャーフォンに比べ液晶画面が大きくなったことや通信の高速化、バッテリの性能向上により需要が高まっており、12年度は276億円となった。17年度には1000億円を突破すると予測した。
コミュニケーションアプリは利用に最適といえるスマートフォン市場の拡大を背景に、若年層に支持されユーザー数を順調に拡大している。12年にLINEが有料スタンプの提供を開始して以来、4600万登録を数えた。
今後も「LINE」を中心に市場拡大が続くとみているが、登録数の伸びについては、スマートフォンの普及率の高まりによりユーザー数の増加ペースが鈍化してきているため成長も緩やかになるとした。17年度には12年度比96%増の9600万登録を予測した。一方金額ベースではユーザー数の多さやECサービスの開始による収益手段の多様化を要因として順調に拡大していくと予想している。
スマートフォン、タブレットといったスマートデバイス向けにアプリの提供を行うプラットフォームをアプリケーションストアとした。12年度は1850億円となった。市場はスマートデバイス向けアプリの需要拡大と共に成長していくとみられる。スマートデバイスは、Wi-FiやLTEの搭載など通信環境の充実によりリッチコンテンツを取り扱える環境が整っていくことが予想される。
それに伴い各種コンテンツサービスの利用拡大が進んでいくほか、ビジネスツールやセキュリティ系など、新しいカテゴリーのアプリも多数提供され、17年度には12年度比4.3倍の7870億円と予測している。(編集担当:慶尾六郎)