明かりを楽しむという暮らし方。無線制御によるSmart Lighting Systemが登場

2015年08月29日 20:16

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ロームは8月26日、EnOcean等、注目の無線通信技術を駆使し、スマートフォンやタブレットPCからの操作で、住宅の照明機器をシンプル且つ多彩に管理する最新の照明コントロールシステム「ROHM Smart Lighting System」の販

 スマートフォンやスマートハウス、スマートメーターなど、ここ数年で「スマート」という言葉を耳にする機会が急激に増えた。今度はなんと、話題の近距離無線通信技術を駆使したスマートな「照明」システムが登場し、注目を集めそうだ。

 電子部品メーカー大手のローム株式会社<6963>は8月26日、住宅内の照明をスマートフォンやEnOceanスイッチなどによりワイヤレスで簡単にコントロールすることができる「ROHM Smart Lighting System」を住宅メーカーや設備メーカー向けに販売開始することを発表した。

 「ROHM Smart Lighting System」は、ロームが得意とする、無線LAN(Wi-Fi)・920MHz特定小電力・EnOceanの3つの無線通信技術と、同社が新たに開発した無線対応のLEDライトユニットを組み合わせることで、最大200台までの照明機器をシンプル且つ多彩に管理することができる最新の照明コントロールシステムだ。照明機器の操作にはEnOceanスイッチのほか、スマートフォンやタブレットPCを用いるが、個々の機器だけではなく、各部屋や各階のエリアごとに任意のグループを割り当てることで、対象の機器をグループ単位で一括操作することもできる。

 例えば、リビングに居ながら子供部屋の照明を操作して就寝を促したり、同じリビング空間でも、シーンや時間帯に合わせて照明を変化させることで、食事をより美味しそうに見せる明かりや、映画鑑賞に適したムードのある照明を演出することもできる。さらに、HEMS(ホーム エネルギー マネジメント システム)と組み合わせて24時間体制で制御することで、大幅な省エネ効果も期待できるという。

 中でも特筆すべきは、配線・電源不要のメリットをもつEnOcean技術が採用されている点だろう。照明コントロールというシステム自体は決して新しいものではない。調光システムのついている家庭も少なくないだろう。しかし、従来のシステムでは、照明とスイッチを結ぶ複雑な配線を必要とするため、新築時以外での導入は困難とされていた。ところが、EnOcean技術を採用すると、この問題が一気に解決する。照明とスイッチ間の配線が不要になるため、リフォーム時でも大掛かりな工事を必要とせず、手軽にシステムが導入できるのだ。さらに、システムに付随するホームゲートウェイの設定さえ行えば照明機器の増減にも即時に対応できる上、ボタンひとつで設定したシーンを再現することができ、手間や時間、費用を抑えて、誰でも簡単に明かりの演出を楽しめる。

 とはいえ、雰囲気作りのためだけにそんなシステムを導入するのは気が引けるし、面倒そうだと考える人も多いのではないだろうか。しかし、ライトコントロールというシステムの導入は、演出効果以上のメリットもあるようだ。部屋の色や明るさが人間の精神に大きく影響することは広く知られているが、時間帯に合わせて照明を変化させることで生活リズムを調整したり、照度を調節することでリラックス効果を生み出したり、質の良い睡眠へ誘導したり、家族の健康面でのメリットも期待できる。

 いずれにしても、無線通信技術を用いた照明システムの登場で、室内照明というものの考え方に一つの転機が訪れそうだ。ただ明るいだけの照明や、節電や省エネといった従来のアプローチではなく、生活を豊かにするための「楽しむ」明かり。ロームでは、対応機器のラインナップを随時拡大していく他、住宅向けのみならず、店舗や施設等に向けての普及にも意欲を見せている。(編集担当:藤原伊織)