為替レートの円安が急速に進み、18日未明にドル円は2年7ヵ月ぶりに90円にタッチし、ユーロ円は120円に乗せた。前日のJPモルガン、ゴールドマンサックスの決算は良くシティ、バンカメが悪かったアメリカ大手金融企業の決算だが、雇用や住宅の指標が改善したのが好感されてNYダウは84ドル高。インテルは決算自体は悪くなかったが、業績見通しが市場予測を下回った。
日経平均は182.99円高の10791.97円で始まり、TOPIXは900台を回復した。その後は前場も後場もほぼ10800円台で終始。安倍首相のブレーンの浜田宏一・エール大学名誉教授の「95~100円が適当」という発言でドル円がはね上がる局面もあり、アジア市場も堅調だったので、終値は「利益確定売りの金曜日」にもかかわらず303.66円高の10913.30円。最後に10900円台に乗せ、波乱の多かった今週の取引を高値引けで終えた。日銀の金融政策決定会合を控える来週の11000円の大台乗せに向けて視界良好。東証1部全体の86.8%の銘柄が値上がりし、売買代金は前日よりさらに増え2兆2470億円。2ヵ月少し前まで1兆円に届かない薄商いが毎日続いたのが、遠い昔の話のようだ。
業種別騰落率で高かった業種は海運、保険、鉄鋼、電機、機械などで、急速な円安で輸出関連株が好調。業種別騰落率で下がった業種はJAL<9201>が35円安、全日空 が2円安の空運だけ。情報・通信、電気・ガス、建設、陸運など、ディフェンシブ系が相対的に伸びなかった。
輸出関連ではホンダ<7267>、デンソー<6902>、ニコン<7731>、TDK<6762>、ダイキン<6367>は3ケタ高をマークし、キヤノン<7751>は95円高。マツダ<7261>も23円高で値上がり率10位と好調だった。ソニー<6758>はニューヨークのアメリカ本社ビルを約11億ドルで売却して約600億円の現金が入ると報じられ、125円高で値上がり率6位、売買代金1位。シャープ<6753>も6円高で続伸した。
東京市場ではインテルの決算に関して、慎重な業績見通しより堅調な設備投資計画のほうが好感された。“インテル感応度”が高いイビデン<4062>は72円高で、新光電気工業 は12円高。インテルとも関係が深い半導体製造装置関連は東京エレクトロン<8035>が320円高、アドバンテスト<6857>が104円高、大日本スクリーン<7735>が22円高と大いに買われたが、最も注目を集めたのが330円高で終値を5000円台に乗せたディスコ 。主力が切削工具で消耗品なので、円安はいち早く効く。東京エレクトロンはファーストリテイリング<9983>、京セラ<6971>、ファナック<6954>、信越化学<4063>とともに、3ケタ上昇で日経平均寄与度の上位5銘柄に入った。
午前11時に中国の重要な3指標が発表された。第4四半期のGDP速報値は8四半期ぶりに改善し7.9%、12月の鉱工業生産は10.3%増で前月比0.2ポイント加速、12月の小売売上高は前年同月比15.2%増で、どれも底入れ、反転は確認できたがほぼ市場予測通りでサプライズはなく、東京市場はほとんど反応しなかった。中国関連銘柄の代表格のコマツ<6301>は70円高、ファナック<6954>は260円高、日立建機<6305>は55円高だったが、この日は中国に限らず輸出関連株全体が上がっていた。
日本取引所グループ(JPX)<8697>は一時ストップ高の705円高で値上がり率2位に入り、決算発表を行って最終損益が黒字化した水戸証券<8622>は27円高で値上がり率8位に入り、収益大幅改善の極東証券<8706>は74円高と、中堅証券にも春が来たようだ。
今日の注目はゴルフ場運営大手のPGMホールディングス<2466>とアコーディア・ゴルフ<2131>。PGMによる敵対的買収劇は、アコーディア株へのTOBに約17%しか応募がなく、下限の20%に届かず不成立に終わった。昨年、株主総会が2日にまたがる委任状闘争を繰りひろげた第1ラウンドに続き、アコーディアは防衛に成功して1700円の大幅高。PGMも200円高だが、ゴルフ場業界の天下統一の野望はくじけていない、か?(編集担当:寺尾淳)