若者の「ギャンブル離れ」「パチンコ離れ」が叫ばれて久しいが、これはメーカー側にとっても死活問題だ。矢野経済研究所が今年9月25日に公表した「パチンコ関連機器市場に関する調査結果 2015」によると、14 年度のパチンコ関連機器の市場規模は1兆2232 億円(メーカー売上金額ベース)で、前年度比 94%、774 億円のマイナス成長となった。
調査は同研究所が、パチンコ機・パチスロ機メーカーなどに対し、ヒアリング、文献調査などを通して実施。4年前の2010年には、「パチンコ関連機器」の市場規模は1兆3000億円を超えていた。当時は全体の6割以上を「パチンコ機」が占めていたが、近年そのシェアは大幅に減少。5期連続のマイナスで、14年には約半数まで落ち込んでいる。反対にシェアを伸ばしたのは「パチスロ機」で、10年の2割から、14年には3分の1まで拡大。パチスロ機は、13 年まで4 期連続でプラス成長となっている。しかし、14年は一転して 1 割減の大幅減少を余儀なくされた。要はパチスロ機、パチンコ機いずれも縮小トレンドに突入したということで、全体のマイナス傾向が加速するのは避けられない。
全国的なパチンコ機稼働の低迷で、パチンコホールの経営法人は、購入する機器の選別を厳しくしている。ここ数年、新規店舗の設置台数は巨大化。大型店を経営する企業では、「主力機種」に資源を投入するケースも目立つ。競合他店との差別化を目的に、実績が見込める機種に対し積極的に投資しているのだ。
矢野経済研究所では、「パチンコ機の市場規模が縮小する一方で、開発コストは年々高騰している」と指摘。今以上の開発投資は非効率、もしくは無意味との見解が多く、「今後は品質向上を重視しつつも、効率性を重視して開発費の抑制が始まる」と予測している。
16年以降は、今の市場を支えている、射幸性の高い「マックスタイプ機」の販売ができなくなる。収益性が低下するため、必然的にホール経営法人の機器購入はより慎重に、より厳選されていくだろう。全体の販売ロット低下は避けられず、遊技機メーカーは開発費用などを精査する必要に迫られそうだ。(編集担当:北条かや)